彼の隣に立つ方法
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ボンゴレの連中とも別れ、オレは奴等から遠く離れた異国の地へ。

オレの受けた任務は簡単。敵の殲滅。それだけだ。

ここにいるのは討つべき敵と、撃つ必要のない味方だけ。会話などない。あのアジトでの冷たい視線もなく、偽者の獄寺もいない。

…それだけで、言ってはなんだが精神的にかなり楽だった。


そういえば、存分に仕事のみに専念出来るなどと随分と久し振りだ。ましてやこんな、単純明快な殺しなど。

意識が研ぎ澄まされていく。仕事用の空気が肌に纏わり付く。


眼は銃の標準を合わせるために。

指は銃の引き金を引くために。


思考はどれだけ合理的に効率良く相手を無力化出来るかと考えるためだけに。


…ああ、良い感じだ。

知らず、オレの口に笑みが宿る。

そう、久しく忘れていたこんな感情。これは"楽しい"だ。


いつも通りに動こうとして、その通りにならず思わず舌打ちする。

…そういえばオレはもう片足が動かないんだったな。忘れてた。

まぁ、良い。片足のハンデなどどうとでもなる。そう、問題ない。


いたるところから銃弾が飛んでくる。いつもならば避けられるような弾が掠って肌に傷が付く。

構わない。すぐ治る傷などいくらでも付ければいい。その代わりにオレはそいつらの命を貰うだけだ。


引き金を引く。反動で腕が上がる。赤い飛沫が飛んで。銃弾を詰める。銃弾が当る。―――――オレは笑っている。


ああ、楽しい。銃声が鳴る度に今まで溜まっていたストレスも飛んでいくかのよう。

オレはこのときだけは、全てを忘れていた。忘れていられた。

起きない獄寺も、獄寺に酷似しているあいつも、あいつらの冷たい対応も、みんな―――


―――――。