片想い相手
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目が覚めると、そこは暗闇だった。
「………?」
ここは……
どこかぼんやりとした頭で、何とか状況を整理しようとしていると、
「起きたのか?」
静かな声が聞こえた。
それはリボーンさんの声。
少しだけ顔を傾けて視線を延ばせば、そこには闇に溶けるようにリボーンさんがいた。
「………?」
オレ…?と、声を出したつもりだった。けど、出なかった。
リボーンさんは開いていた本を畳んで、その手をオレの瞼の上に置いた。
「まだ、寝ていろ。身体に障る」
「………、」
分かりました、と、そう声を出したつもりだった。だけど、出なかった。
でも、きっとリボーンさんには伝わってる。リボーンさんは、そういう人だ。
…瞼の上に感じる、リボーンさんの手のぬくもり。
それに、なんだかオレは安心して。
そのままオレは、再度眠りに落ちていった。
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