ツナ父健闘記
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獄寺くんの様子に、山本と雲雀を叱っていたツナが気付きます。


「10代目、こいつらの狙いは10代目です!!だから―――」

「…逃げろって?それは無理な相談だよ獄寺くん」

「―――10代目!!」

「大丈夫、オレはこんな奴らに負けたりしない。…今助けてあげるからね、獄寺くん」


そう言った途端、ツナの目付きが変わりました。ついでに額に炎も現れました。手にはいつの間にかごついグローブを着装です。


「ふふふ…血を見るのは久し振りかなぁ……?


どうやらツナ様本気(マジ)モードです。見えないはずの気迫すら見えてくるようです。


「ボンゴレ関係でオレの可愛い獄寺くんに手を出したらどうなるか…みんなに教えてあげないとね……


ツナ様笑みが黒いです。正直怖いです。


「ごめんねー、見せつけの意味も込めてちょっと酷く行くよー


にこやかに笑いながら。けれど聞き流せない言葉を吐いて。

ツナ様の、ツナ様による、獄寺くんの為の殺戮行為が始まりました。


―――――暗転。


そして次に場面が見えたときには、ツナ様はグローブを取っていていつものツナになっていました。

なにやら爽やかな笑みを浮かべつつ額の汗を拭っています。例えて言うならスポーツ試合後の選手が善戦を尽くした、といった感じでしょうか。


「―――うん、これだけやっとけば暫くの間は平和に暮らせるかな?」


一体どれだけしたのでしょう。ちなみにツナを怒らせた二人はちょっと描写するには苦しむ状態になっています。


「さぁ、帰ろうか獄寺くん―――って、あれ?」


気が付いたとき、いつの間にか人の人数が増えていました。

モザイクの掛かっている二人の前に、いつの間にかいつかのオッドアイのお兄さんが立っていたのです。


「……こんにちは。骸さん―――でしたっけ?」

「クフフ。覚えて下さり光栄ですよ。…ボンゴレ10代目」

「獄寺くんにそこの二つをけしかけたのは、貴方?」

「さぁどうでしょう―――この二つは僕に従順ですから」


黒い、そして重い風が静かに吹きます。二人の間にぴりぴりとしたものが飛び散ります。


「―――ま、そんな怖い顔しないで下さいよ。今日は様子見なんですから」

「どうだか」


あくまで偽善顔の骸に対し、ツナの表情は冷めています。

しかしそれもそのはずです。なんて言ったって、自分のせいで獄寺くんが狙われたのですから。


「クフフ…貴方の娘さんは余程ご自慢のようですね。しかしその殺気は頂けない…もう少し抑えたらどうです?」


言われて、ツナは気付きました。

自分の殺気に当てられて、かたかた震える獄寺くんに。


「あ…ご、ごめんね獄寺くん。オレ、つい…」

「10代目…」

「ああ、貴方が10代目の愛娘ですか。お初にお目に掛かります。僕は―――」


…と、ここで骸は始めて獄寺くんを見ました。

獄寺くんも、ツナの背から出てきて初めて骸を見ました。

二人の目が合いました。

途端。


―――ぶわ…


骸には、なんか薄いピンク色の空間が出来たように見えました。あと点描とかが獄寺くんから飛び散っている様子とか。


「お…御美しい……」


なんと骸、今までのシリアスなシーンを素っ飛ばして獄寺くんに一目惚れしてしまったようです。

骸は一瞬で獄寺くんの近くへ移動し、膝を折って獄寺くんの手を取りました。


「ああ御美しいお嬢さん…私は六道骸と申します。もし宜しければ貴方の名前を私の心に刻ませては頂けませんか?」

「え…?っとオレは…獄寺隼人…だけど……」


おっと獄寺くん、何に反応したのか少しばかり顔が赤いです。脈有りでしょうか。


「獄寺隼人…よきお名前ですね。隼人くんとお呼びする許可を頂けますか?」


「―――って、ちょーっと待ったぁー!!!」


いい感じに無視されていたツナが二人の間に割り込みます。獄寺くんは正気に返りました。