ツナ父健闘記
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「…はっ、10代目……」
「おやお父義様。どうかなされましたか?」
「誰が誰の親父だ!お前みたいな男にうちの獄寺くんは決してやらん!!」
ツナ、頑固親父が身に付いてきました。
「ああ、まだ知り合ったばかりですからね…では隼人くん、親睦を深める意を込めて今度デートしましょうね」
骸はそう言うと、獄寺くんの頬に小さくキスをしました。
「な…!」
ツナは怒りの余りに言葉を失ってしまいます。
「え…―――えっ?」
獄寺くんは獄寺くんで驚いたようです。まぁこんなことを素でやってのけられたら誰だって驚く気がしますが。
「では、隼人くん…また会いましょう」
やりたいことをやりたいだけやりのけた骸は犬と柿だったモノを引きずって行ってしまいました。
「あのオッドアイ…今度見つけたら絶対死なす…!」
「まぁまぁ10代目…」
「ああ、獄寺くんごめんね!オレが傍にいながら獄寺くんを救うことが出来なかった!…ああ、オレの獄寺くんがキズモノに…!!」
ツナ、ご乱心の模様です。
「じ、10代目!?落ち着いて下さい!傷物って一体何の話ですか!」
「そうだぞツナ。少し落ち着け」
「そうそう…じゃないと、僕が彼を喰べちゃうよ?」
ぴたり。
「――それは駄目」
一瞬で正気に戻ったツナは獄寺くんをむぎゅっと抱き締めて抱き寄せて。二人と距離を取りました。
「帰るよ獄寺くん」
「は、はい」
そのままツナは獄寺くんを引きずり帰りました。
帰り道。
「じ、10代目…オレはもう大丈夫ですから…」
「うん……ああごめんね獄寺くん!!オレが付いていながら、オレが傍にいながらあんな事になっちゃって!!」
ツナ、相変わらずご乱心でした。
「そんな、10代目大袈裟ですよ」
全然そんなことはないのですが、知らぬは本人ばかりなりでした。
しかしこれ以上取り乱しても仕方ありません。ツナは無理矢理自分を落ち着かせます。
「―――そういえば獄寺くん、何かいい買い物は出来た?」
「それが…中々いいものがなくて…」
ツナの問いに、獄寺くんはしょげりながら答えます。
「あ、いいのいいの。オレは獄寺くんの気持ちだけで嬉しいんだから」
「でも10代目、オレは10代目に何か贈り物をしたいんです」
「うんありがとう。…あ、獄寺くん少し買い食いして行こうか」
獄寺くんの返答を聞く前に、ツナは行ってしまいました。そしてすぐに戻ってきます。一つの包みを持って。
「今の時間だと夕飯が入らないかもだから…半分こね」
ツナが買ってきたのはあんまんでした。あんこから湯気が出ています。
二人はぱくりと一口食べて。そうするとあんこの甘みが口いっぱいに広がって。
「おいしいね」
「はい、甘くて」
そうやって二人は笑いながら、あたたかいおうちへと帰っていくのでした。
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今日の夕飯は何にしようね。
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