消えたあなた
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「………」


リボーンさんも、対するオレも何故か無言。

ああ、一体何をやってるんだオレは。リボーンさんだぞ?今までずっと探し続けてきたリボーンさんがいるんだぞ?

ほら、早く駆け寄って一体どこへ行ってたんですか、とか、みんな心配してましたよ、とか、

何か言わないといけないのに、どうしてオレの口の中は乾いて声が出てこない?

リボーンさんは俯いていて、その表情が伺えない。


ああ、何をやってるんです?

あなたはいつだって無駄に偉そうに胸を張っていたのに。どうして今このときばかりだけ。


「―――ああ、獄寺くん。リボーンは見つかった?」


後ろから声。

オレの大事な人の声が。

振り向いた。そこには聞こえた声の通りに10代目。


「あ………」


喉を絞り込んだかのような声がやっと出た。その間に10代目はオレの向こう側にいるあの人に気付いた。


「リボーン!お前、今まで一体どこに行ってたんだよ!獄寺くんやオレがどれだけ心配したと……」


10代目がリボーンさんに近付く。

リボーンさんが、微かに動く。

懐に手をやり、すぐ抜いた。

手には、銃が握られていた。

リボーンさんが顔を上げる。


その目には、光がなかった。


殺気が感じられて。

オレは思わずすぐ横まで来ていた10代目を押し退けていた。

銃声が響いた。

木々から烏が飛び立った。

10代目に怪我はないようだ。

そして何故かオレの腕が痛い。

思わず手で押さえると、何かぬめりを感じた。

血が流れていた。

撃たれた。

リボーンさんに撃たれた。

…違う。リボーンさんが撃ったのはオレじゃない。


オレが何もしなければ………撃たれていたのは10代目だ!


「リボーンさん…あなた…、」


あの人が手に持つ銃口はオレに標準を合わせられていた。

あの人の指の力が引き金に掛けられる。


―――銃声。


けれど銃弾が降り注いだのはオレたちではなく、リボーンさんの方だった。


「―――!?」


銃弾はオレたちの後ろ。そしてやや上の方から飛んで来ている。

振り向いて確認すれば、小さな影が大きな重火器を構えていた。

コロネロとラル・ミルチだった。


「お前たち伏せろ!!」

「蜂の巣になるぜ、コラ!」


言うのが遅すぎる。

オレは10代目の上に伏せた。


銃撃は止まない。

砂埃が辺りに立ち込めて。向こう側の様子は伺えない。

向こう側にはリボーンさんがいるのに。

暫くして銃弾が止まった。背後からラルの舌打ちが聞こえる。その意味を答えるようにコロネロが言う。


「…逃げられたぜ、コラ」


その言葉通り、煙が晴れた先には誰もいなかった。

穴の開いたオレの腕が、じくりと痛んだ。