消えたあなた
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気付けば、オレは自室の毛布の中に包まっていた。

眠っていたのか、頭がぼんやりとする。

…夢を………見ていた気がする。

はて。どんな夢だっただろうか。

思い出せない。


「獄寺」


確か…とても、悲しい夢だったような……気がする。


「…おい、獄寺」


何だっただろうか。


「―――獄寺!」

「…リボーンさん?」


気付けば、すぐ目の前にリボーンさんがいた。

何故だろう。なんだか酷く懐かしい気がする。


「…まったく、何トリップしてるんだ。寝惚けてんのか?お前」

「…そうですね。オレ、寝惚けてるみたいです…」


目の前のリボーンさんは呆れ顔でオレを見ている。

あれ?何でオレ、今とても幸せなんだろう。


「…って、それよりもリボーンさんこんなところまで一体どうしたんです?オレの部屋まで来るなんて珍しい…ってか、初めてですよね」


あと、ですねリボーンさん。いい加減オレたちも付き合って結構立つんで出来れば名前呼びで………い、いえなんでもないです…


「こないだ、お前との約束破っただろ。その詫びに来た」


と、リボーンさんは手に持っていたケーキの箱を開ける。


「って、それ単にリボーンさんが食べたかっただけでしょう…?もう、オレをダシに使わないで下さい」


リボーンさんが持ってきたのは、リボーンさんの好きなチーズケーキだった。ちなみに二位は僅差でモンブランだったりする。


「まぁ、気にするな」


オレの発言を軽くいさめつつ、リボーンさんは一応詫びと言った手前か先にオレにケーキを差し出した。

オレはそれを受け取ろうとする。


………はて。


ところでリボーンさんの言う詫びとはなんだろう。約束?そんなもの破られた覚えはないけれど。


「お前と出掛ける約束をしてたのに、破っただろ?」


そんな約束してましたっけ?

………ああ、あれです。そういえばさっき見た夢の中でなら破られたかも知れません。

そう、少し夢の内容を思い出しました。

そうそう、あなたがいなくなってしまう夢です。

しかもその日が、あなたの言う通り一緒に出掛ける約束をしてた日で。

あなたは来なくて。

オレは何故か怒りとかよりも先に不安とか焦燥感を感じたんですよ。

そして、その日からあなたは姿を消して………


………。


………まぁ、でもそれは夢の中での話ですからね。

現実には関係ありません。

オレは差し出されるままにケーキの乗った皿を受け取ろうと腕を伸ばしました。

けれどオレは落としてしまった。

何故か。



伸ばした腕が、じくりと痛んだから。



はっと、目が覚める。

オレは外にいた。

冷たい風が吹いている。

そして、オレの目の前には…


「いい夢でも見てたのか?」


リボーンさんが立っていた。