消えたお前
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そう言って笑った獄寺は、自分の身体がどうなっているのか。数時間後、自分がどうなるのか分かっていたのだろうか。

何も知らなかったに違いない。いつも通りの時間が過ぎると信じて疑わなかったに違いない。

獄寺だけじゃない。誰一人として疑っていなかっただろう。オレも含めて。

何も理解してないまま獄寺と二人、海まで歩いた。


眩しい日差し。汗が身体を纏う。

オレはさっさと目的地に着こうと、足早に歩いていた。その後ろを獄寺が歩く。

海までもう少し。というところで後ろから声がした。獄寺の声。オレを呼ぶ声。


「リボーンさん」


なんだと答えて、続きの言葉を待った。

しかし、いくら待っても声は聞こえない。代わりに音が聞こえた。

どさりと、誰かが、何かが倒れたような音。

思わず振り返れば、獄寺が地に伏していた。

駆け寄ってみてみれば、獄寺はまるで眠っているかのように意識を失っていた。