消えたお前
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それからのことは、正直よく覚えていない。

病院に搬送される獄寺。

慌しく走り回る医師たち。

集まるボンゴレメンバー。

それらの様子を、オレはどこか他人事のように見ていた。

獄寺はそれから丸十日眠り続けた。

そして、獄寺は意識を失ったときと同じように唐突に。何の前触れもなく目覚めた。

獄寺が起きたと聞き、獄寺と親しい者はすぐに病室へと駆け込んだ。

涙を流し、喜ぶ奴らを目に獄寺はただただ困惑していた。


嫌な予感がした。


心の中で冷や汗が流れる。

やがて、獄寺は遠慮がちに口を開いた。


「あの…」


獄寺の言葉に、周りが静まる。獄寺に視線が集中する。

それを受け止めながら、獄寺は続きの言葉を放った。


「…どちら様ですか?」


嫌な予感は当たるものだ。

獄寺は目を覚ました。意識を回復させた。


だが、記憶を失っていた。