消えたお前
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などと思っていたある日、偶然か誰かのお膳立てか。あいつと会った。

あいつは少し目を見開き、息を呑んだ。しかしすぐにその色を潜ませる。


「こんにちは、リボーンさん」

「ああ」


笑顔で挨拶するその姿は、あの獄寺と変わりない。

だからだろうか。


「獄寺」

「え?」

「海に行かないか?」


気紛れを起こしたのは。


あいつは驚いた顔をしていた。それはそうだろう。今までろくに交流もなかった人間からいきなり誘われたのだから。

しかしあいつは即決した。


「はい。喜んで」


オレはごねたのにな。

数週間前のことを思い出す。まるで数十年も昔の出来事のように感じられた。