消え行くお前
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「―――おい」
「…あ、はい、リボーンさん」
呼ばれ、ハッとする。
目の前に、リボーンさんが、いる。
じっと、オレを、見ている。
「…すいません。…少し、ぼーっとしてました」
「………」
リボーンさんは、オレを怒ることなく、責めることもなく、ただオレを、じっと見ている。
…少し、気不味い。
何もかも、見透かされてしまいそうだ。
「最近調子が悪そうだが…何かあったのか?」
「ええと…」
ああ、もう、本当、この人には敵わない。
…前の、獄寺隼人は、終わる直前まで、いつも通りだったと、聞くのに。
オレは本当に堪え性がなくて、困る。
「…はい。実は、少し前から、調子が……優れなくて」
「………」
リボーンさんは、無言。
何を考えているのか、分からない。
…前の獄寺隼人を、思い返しているのだろうか。
そういえば、前の獄寺隼人が終わるとき、一番傍にいたのはリボーンさんとも聞いた。
リボーンさんは、どういう思いで、倒れた獄寺隼人を見たのだろう。
「……お前は―――」
リボーンさんが、口を開く。
「お前は、どうしたい?」
リボーンさんが、オレに聞く。
どうしたいとは、どういう意味だろう。
あまり動かなくなった頭で考える。
まあ、やはり、こういうことだろうか。
オレがまた倒れたあと、記憶がなくなったら、どうしたい、という意味だろうか。
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