予約済み
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ボンゴレの古い仲間内だけで、英気を養うという名目でささやかながら宴が開かれていた。
定期的に開かれているその宴の真意は…みんなが大好きなとある人物を自分に惹かせるためのもので。
ちなみにそこは畳部屋だった。日本生まれ・日本育ちが多いためかボンゴレアジトに特設されている。
「隼人」
「ん?」
今回のトップバッターは雲雀。彼は神妙な面持ちで獄寺に語りかけてきた。
「…少しこのざわめきで酔ったみたいなんだ…ね。一緒に静かな所へ…行かない?」
囁くように呟かれる声。肩にまで回される腕。交差する視線に獄寺は臆する事なく…言い方を代えれば、まったく変化せず。雲雀を見据えて。
「雲雀…気分悪いのか?なら大人しく横になっとけよ。―――おい、シャマル!ちょっと診てやってくれ!!」
「……」
がっくりと雲雀は項垂れた。
違う…そういうことなのではなくて。ようは雲雀は獄寺と二人っきりになりたかったのだ。誘ったのだ。
しかし昔から獄寺は天然というか。なんというか変化球ではヒットしないらしい。
分かってたはずなのに…と小さく呟く雲雀に獄寺は気付かず、やがて呼ばれたシャマルがやって来た。
「呼んだか?」
「おう。気分が悪いんだと」
「そうか…大変だな。とりあえず診察だ…よし、まず服を脱げ」
「オレの服を脱がせてどうするんだよ。雲雀だよ雲雀」
「オレは隼人以外は診ないんだ」
確か彼は10年前は女以外は診ないと言っていたはずなのだが。一体いつの間に獄寺限定になったのだろうか。
「酔ってんのか?使えねぇ医者だな…」
獄寺はばっさりと切り捨てた。
「………」
シャマルは地味に傷付いていた。
「…みんな苦労してるなー…」
とは事の一連を傍観していた10代目。
「あ。10代目。お疲れ様です」
「獄寺くんもね。楽しんでる?」
「はい。ご馳走になってます」
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にこりとそう返す獄寺。彼の頬は少しアルコールが入っているのかほんのり赤く染まっていた。
ああ―――もう。
「可愛いな…」
「はい?」
思わずそう小さく呟かれた声。今度は獄寺の耳にも入ったようだ。
「ね…獄寺くん。オレの部屋に行かない?」
ツナの直球ストレートなお言葉。しかし獄寺は曖昧に笑って…
「えーと…10代目。お気持ちはありがたいの。ですが…」
「駄目?」
それでも食い下がるツナ。しかし獄寺は変わらない。
「…また仕事を溜め込んでいらっしゃるのですか?手伝いでしたら明日、少しですけど助力に行きますから」
にこりと微笑みながらそう返してくる獄寺。
…違う。いや、確かに仕事はそれなりに溜まっているし助っ人がほしいとは思っていたが…それとこれとはまた違って。
訂正をしようとツナが口を開く…よりも前に。獄寺は更に進言する。
「あと…もう少し静かにして頂けますか…?リボーンさんが起きてしまいますので」
は?
みんなの動きが固まった。
え…なに?リボーンが…なに?
獄寺は苦笑して下を…机の下を指差した。
恐る恐るそこを見てみると…いた。宴の始まる前から姿の見えなかったヒットマンの姿がそこにはあった。獄寺の膝を枕に眠りこけていた。
「ていうかなんで獄寺くんの膝枕!?ちょ、リボーンこの野郎!!」
「うるせぇぞ」
怒鳴るツナにリボーンの鉄拳が下った。きゅうと倒れるツナ。ご愁傷様という声がどこからか聞こえてきた。
「あ。リボーンさん、おはようございます」
「ああ…ここじゃろくに寝れねーな。部屋に戻るぞ。着いてこい獄寺」
「はい」
と。あっさりと腰を上げる獄寺。
え。待って。
さっきまであんなにみんなの誘いを断り続けていたのに…リボーン相手だとそんなあっさりなんだ?
「獄寺くん…?」
「すいません10代目。オレ今日はこの辺で失礼させて頂きますね。リボーンさんを寝室まで運んでいきますので」
「え…そんな、リボーンなんてその辺に放っとけばいいじゃん。飲もうよ」
「もう、駄目ですよそんなことを言っては。リボーンさんは放置してしまったらどこでも寝てしまうんですからちゃんとベッドに運ばないと」
と。リボーンが獄寺に雪崩れかかってきた。どうやら眠ってしまったらしい。
思えば赤子の頃は毎日お昼寝をしていたリボーン。今は夜に弱いのだろうか。
「では。オレはここで…いい夢を」
獄寺はすぴよすぴよ眠ってしまったリボーンを抱っこして部屋を後に。
ああ…あんな少し前まで赤ん坊だった奴に負けるなんて。ていうか寝てるような奴に負けるなんて!
ツナは一杯酒を煽って。畳の上に横になって。
10年前の懐かしい香りを感じながらそのまま不貞寝した。
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8765キリリク「獄総受け。にぶちん獄をみんなで口説くお話」
キラリ様へ捧げさせて頂きます。
リクエストありがとうございました。
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