四季を共に
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それは…ある、寒い冬の日だった。
帰路へと着いてた夜の道。その途中で―――オレは、薄汚れた一人の人間を見つけた。
それは一人の少女だった。身に纏っている服装は所々破けており、血を流していた。
その少女は倒れていた。けれどその目は真っ直ぐにオレを見ており―――そして救いを求めるかのように拙い動きで手を前に…オレに伸ばして、
「助けて…ください……」
そう、呟いた。
そしてその手は冷たく硬い地面へと落ちる。微かに上がっていた頭も。どうやら気を失ってしまったようで、起きる気配はない。
オレはため息を吐いて、少女を抱きかかえた。
小さな少女の身体は予想以上に軽く、そして氷のように冷えていた。
それが、オレがこの少女―――ハヤトとの、初めての出会いだった。
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