頭の中に思い描くあの人は
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年末まで掛かると思われた任務が思ったより短く終わり、獄寺は一週間程予定より早く日本へと戻ってきていた。
久々の日本。硬いアスファルト。白い息。
…はて。いつも通りのはずの景色が、どこか違って見える。なんだか、どこか、煌びやかに。
その理由は探すまでもなく目に見えた。小さなもみの木に飾られたイルミネーション。玄関には飾られたリーフ。少し視界を上げて見える窓には、赤い服を着た人形。
ああ、そうか。
今日はクリスマスか。
すっかり忘れていた。頭から外して考えていた。
獄寺はふと足を止める。
進んでいた足が向かっていた場所は敬愛なる10代目ことツナの家。
けれど今日がクリスマスというのであれば、お邪魔だろう。
今年から家光も自宅でクリスマスを過ごすらしいし。親子水入らずで過ごさせるべきだ。
そう判断した獄寺は来た道を引き返す。
帰国した旨を伝えようと、携帯電話へ伸ばしていた手も降ろす。連絡したらお優しい主は気を遣い家へ招いてくれるだろうから。
さてはて、これからどうするか。
急に時間が出来てしまった。イベントや祭り事を好む日本では、知り合いも予定を入れているだろう。
…まあ、いいか。
たまには、一人で。
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