子供の涙
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爆発音と銃声。
悲鳴と怒号。
崩れ落ちる家具。
増える死体。
とあるマフィアのアジト。そこは今戦場だった。
戦場の中心にいるのは銀髪の青年。
右手には銃を。左手にはダイナマイトを。口元には煙草を。
それらを駆使しながら。疾走しながら。主のために敵をひとりひとり屠っていく。
人の数が減ると共に音も少しずつ消えていく。
すっかり静かになった屋敷の中を青年は調べていく。
主の命令は敵の殲滅。
一人たりとも生き残りは許さない。
見つけた死体の頭に銃を撃つ。
死体は一度痙攣して今度こそ動かなくなる。
それを続けていくうちに、場違いな部屋に訪れた。
小さな可愛い子供部屋。動物のぬいぐるみや可愛らしい小物で溢れている。
その部屋を青年は土足で踏み込む。
その部屋の中に小さな気配を感じたから。
迷わずクローゼットを開く。
そこには洋服に隠れて一人の少女が。
怯え、震え。瞳には涙を。口には懇願を。
「た、助け…」
無力な少女の眼前に青年は無骨な拳銃を突きつける。
主の命令は敵の殲滅。
一人たりとも生き残りは許さない。
銃声が鳴り響き、少女は倒れ、屋敷の人間は一人もいなくなった。
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