子供の涙
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「最近動き辛い」
「動き辛いですか」
「動き辛くて仕方がない」
と、主綱吉が右腕獄寺に話している。
「警察に優秀な人がいるみたい。あちこちに網張られてるし。部下も何人か捕まっちゃったし」
「先日の敵対ファミリー殲滅以来警察の警戒網が広がったように感じます」
「あー、あれね。獄寺くん大活躍だったね」
「お褒めに預かり光栄です」
獄寺は大袈裟と言っていいほど頭を下げる。
獄寺について知られていることは少ない。
一見して判ることは、まず獄寺には感情と言うものがない。
少なくとも部下はそう思っているし、感情を露にしたことはない。いつも淡々としている。
獄寺の出生は一切不明だ。
綱吉がボンゴレを継ぐ前からの付き合いらしい。程度の情報しか周りは知らない。
どんな繋がりなのか分からない。
ただ、獄寺は綱吉に対して絶対服従を誓っている。
それだけは間違いない。
なので。
「ねぇ、獄寺くん」
「はい」
「情報部に調べさせたんだけど…警察を動かしているのはリボーンっていうとても優秀な人なんだって」
「はい」
「潰してきて」
「仰せのままに」
獄寺は深々と頭を下げた。
主人の命令は絶対。
獄寺の心にはそう刻まれている。
だから獄寺は綱吉のどんな願いでも叶えてみせる。
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