子供の涙
3ページ/全5ページ


「最近動き辛い」

「動き辛いですか」

「動き辛くて仕方がない」


と、主綱吉が右腕獄寺に話している。


「警察に優秀な人がいるみたい。あちこちに網張られてるし。部下も何人か捕まっちゃったし」

「先日の敵対ファミリー殲滅以来警察の警戒網が広がったように感じます」

「あー、あれね。獄寺くん大活躍だったね」

「お褒めに預かり光栄です」


獄寺は大袈裟と言っていいほど頭を下げる。

獄寺について知られていることは少ない。

一見して判ることは、まず獄寺には感情と言うものがない。

少なくとも部下はそう思っているし、感情を露にしたことはない。いつも淡々としている。


獄寺の出生は一切不明だ。


綱吉がボンゴレを継ぐ前からの付き合いらしい。程度の情報しか周りは知らない。

どんな繋がりなのか分からない。

ただ、獄寺は綱吉に対して絶対服従を誓っている。

それだけは間違いない。


なので。


「ねぇ、獄寺くん」

「はい」

「情報部に調べさせたんだけど…警察を動かしているのはリボーンっていうとても優秀な人なんだって」

「はい」

「潰してきて」

「仰せのままに」


獄寺は深々と頭を下げた。

主人の命令は絶対。

獄寺の心にはそう刻まれている。

だから獄寺は綱吉のどんな願いでも叶えてみせる。