子供の涙
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獄寺とリボーンは銃撃戦をしていた。
獄寺は銃を撃ちながら、ダイナマイトに火を点けリボーンの所へと転がす。
リボーンは当然のように避ける。獄寺はリボーンの動きを先読みしてリボーンの腹にナイフを刺そうとする。
しかしそれはリボーンが銃を盾に防いだ。
獄寺はナイフを捨て、素早く銃を持ちリボーンの眼前に突きつけた。
撃とうとして、しかし気付いた。
自身の眼前にも銃口が突きつけられていることに。
煙が晴れる。
二人は対峙していた。
お互いの眼前に銃を向けて。
「お強い方ですね」
「お前もな。だがとっ捕まえた連中から聞き出した情報通りの動きだ。おかげで動きを先読み出来て助かった」
「やれやれ…あいつらは一体どこまで情報を吐き出したのやら。あとできっちり殺しておかなければなりませんね」
「怖いな」
「マフィアですから」
「なるほど」
「本当にあなたはお強い。警察においておくのはもったいないほど」
「そりゃどーも」
「どうですか?ボンゴレに入りませんか?」
「意外な言葉だな。オレを殺すよう言われてんじゃなかったのか?」
「…言ってみただけです」
言いながら獄寺自身も意外だった。自分は主の言うことを聞いておけばいいのに。
そんなことも露知らず、リボーンはこの状況をどうするか考えていた。
どう避けるか。右か。下か。腕で弾くか。撃つか。
と、獄寺の引き金に掛けられた指に少しずつ力が入っていることに気付いた。
獄寺は避けるつもりはなく、撃つつもりらしい。
リボーンの計算が吹っ飛ぶ。
リボーンは少しだけ顔を俯かせる。
「…先月、この街の屋敷でマフィア同士の抗争があったな」
「ありましたね」
「お前はそこにいたか?」
「いましたね」
「殺した奴のことを覚えているか?」
「覚えていませんね」
「屋敷の中には子供がいた。そいつを殺したのはお前か?」
「覚えてませんが、仮に子供がいたとしたら」
「いたとしたら?」
「殺していたでしょうね」
「そうか。最低だな」
リボーンが顔を上げる。
目を細める。
「死ね」
引き金に力を入れる。
そして。
二つの、重なった銃声。
落ちる空薬莢。
転がる二人の身体。
流れる血液。
あとに残るものは何もなく。
その日の空は憎たらしいほど晴れていた。
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彼らの意思も、生死も関係なく、世界は変わらず動き続ける。
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