恋する乙女の奮闘記
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「な、な、な、一体何するんですか!京子さん!!」
「あはははは!ごめんねハルちゃん!」
「ぼけっとしてるお前が悪いんだろうが、ハル」
あ…
獄寺さん…
「…ん?何見てんだ?オレの顔に何か付いてるか?」
「いいいいいいえ!何でもありません!!」
「あはは。ハルちゃん顔真っ赤ー」
っ!?そ、そんなに真っ赤なのですか!?
「あ…そうか?言うほど赤いか?」
「うーん、やっぱりそうでもないかな?」
ごめんね、と謝る京子さん。…え、もしかしてハル…からかわれました?
「―――京子さん!」
「ごめんねハルちゃん。でも、怒るって事は何か赤くなるような出来事があったのかな?」
―――!!
そ、そうですよ?おかしいですよ?
何でハルは怒ったんですか?何か苛立つような事ってありましたっけ?
………。ない…はずですよ?京子さんが少しふざけただけで、何も…
でも、じゃあ…なんでハルは怒ったのでしょう。
分かりません…解りません。
「…ハル?さっきからお前、おかしいぞ」
おかしい…なんだか獄寺さんのその物言いに、少しカチンときました。
「――そうです!ハルはおかしいんです!」
気がついたら、口から言葉が飛び出ていました。
「…ハル?」
「ハルちゃん?」
お二人が怪訝な顔をします。けれどハルの口は止まりません。
「さっきからそう…街中で、仲の良さそうなお二人を見つけて」
とても楽しそうに、歩いていて。
「追っていたら、いきなり腕を組んでいて」
それを見たら、なんだか胸の中がもやもやして。
「お二人を見失って…京子さんに驚かされただけなのに。何故だか凄い怒ってしまって…」
もう、何がなにやら……
―――と。
ぐいっと、腕を引っ張られました…京子さんに。
「笹川?」
「ごめん獄寺くん!ちょっとそこで待ってて!!」
京子さんに連れられて、ハルは少し離れた路地にやってきました。
「…ごめんね、ハルちゃん。ちょっと、ふざけすぎちゃったね」
京子さんが謝りながらハンカチでハルの顔を拭いていきます。
………ハルは、いつの間にか泣いてました。
―――むー…うー。これはかなり格好悪いですー!
「京子さんー…ハルは、一体どうしちゃったんでしょうか…」
「うーん…えっとね、ハルちゃん…」
京子さんは、こそっと。ハルに耳打ちしました。
「実はね…私、獄寺くんのことが好きなの」
………って、え?
「え、え?それって、どういう意味…」
「うん、だからね?」
京子さんはいつものあの。可愛らしい笑顔で。
「―――獄寺くんは、渡さないってこと」
そんなことを、言い出しました。
「は、はえー!?」
わ、渡さないって、獄寺さんは物ですかっ!?
心なしか京子さんが子悪魔さんに見えますー!!
「……それだけだから、じゃ、獄寺くんのところに戻ろうか!」
京子さんはまたハルの手を引っ張って、獄寺さんのところに戻りました…が。
「ごめんね獄寺くん、お待たせー!」
「ん…いや、構わねぇけど」
京子さんは、ハルを獄寺さんの方に押し付けると。
「突然で悪いんだけど、私急用が出来ちゃったから!代わりにハルちゃんと一緒に選んでて?」
「え、え?何をですか?」
「ツナくんのうちでやるクリスマスパーティのプレゼント。…ハルちゃんも買いに来たんじゃない?」
え…じゃあお二人が見てたのって、クリスマスプレゼント…
「…じゃあ、何で腕なんか組んだんですか?」
「笹川がお前を驚かそうって、いきなり組んできたんだよ」
ごめんね?と謝る京子さん。
……ばれてたですか。
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