恋する乙女の奮闘記
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「そ、そういうことでしたら仕方ありません。獄寺さんと選ぶ事にします」
「何でそこまで言われないといけないんだ…」
「まぁまぁ。それじゃよろしくね。何を買ったかあとで教えてね、ハルちゃん」
―――と、京子さんはいきなりハルに近付いて。こっそりと。
「…今日一日獄寺くんといて、気持ちに気付かなかったら…本当に獄寺くん貰っちゃうから」
「―――っ!?き、京子さんっ!?」
「あはははは!じゃあね二人とも!!」
京子さんは笑いながら行ってしまいました。
「………何言われたんだ?」
「獄寺さんにだけは言えないことです」
獄寺さんはなんだそりゃ、って言って。けどそれ以上は追求してきませんでした。
―――横風が吹いて。獄寺さんの髪を撫でます。
遠くを見つめる眼がとても綺麗で。見てると切なくなって…
…ハルは、獄寺さんの事を―――どう思ってるのでしょうか。
最初はなんとも思ってなかったはずです。だっていきなり現れては爆弾を投げられたんですよ?
むしろ第一印象は最悪じゃないですか!
でも。綺麗だと…思いました。
うー、でも、でもでもー…!
「…しっかし――笹川も良い奴だよな」
―――え…
ずきっと、胸が痛みました。
獄寺さんが京子さんの事を言っただけなのに、です。
え、ちょ、なんですかこの気持ちは…
「よく分からんがお前の相談に乗ってくれて気まで遣ってくれたんだろ?」
そ、そうですけど、そうですけどーっ
確かに京子さんはお綺麗で可愛くてでも気も利いてけどぽわっとしていて護ってあげたいタイプなまさに理想?な方ですけど!!
―――って、あれ?自分で言っておいてあれですけどもしかして京子さんって完璧超人じゃないですかっ!?
っあー!もぅ勝ち目ないじゃないですか!って、勝つって一体何の話ですかー!!
思わず頭を抱えてしまうハルにも気付かないのか、獄寺さんは未だ京子さんの走って行った方向を向いていました。
…む。ここにいるハルはアウトオブガンチューって奴ですか?そんなに京子さんが気になりますか?その微妙に微笑んでいる顔も京子さんのものなんですかー!?
とか思っていたら。
「10代目が惚れるのも、分かる気がするな」
―――何て言ってきて…って、へ?
ツナさん……が?
…………。
ツナさんが京子さんを好きな限り、獄寺さんが京子さんになびくなんて事は有り得ませんね…
…なんか、安心してきましたよ?
―――むぅ。
…分かりました。解りましたです。観念します、諦めます、認めます!
ハルはリボーンちゃんもツナさんも好きです、大好きです!!
………けど。
――獄寺さんの方が、もっと好きみたいです…
…京子さん。
ハルの気持ちに気付かせて下さったこと、感謝いたします…
でも。
この勝負、勝つのはハルです。
ツナさんの純なお気持ち、そのツナさんを大切に思う獄寺さんのお気持ち、その他もろもろ利用させて頂きます。
チャイルドデビル・ハルの誕生です!!
ぐっと握り拳をして夕日に誓うハルをいつの間にか獄寺さんが見つめていて…そして言いました。
「お前も。頑張って10代目が振り向くような良い女になれよな」
………。
―――はぅっ
そうでした、そうでしたよっ!?獄寺さんの中ではハルはツナさんが好きな女の子な認識なはずですよっ!?
じゃあ買い物の続きでもしに行くかなんて言う獄寺さんの後ろで、まずはこの獄寺さんの認識を正しく修正するのがハルの任務だと。
そう思ったクリスマス数日前の出来事でした。
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とと、とりあえず、今は獄寺さんとの、ででで、デートを、堪能しましょう!!
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