最後に笑うは
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退屈な退屈な授業中。
ツナの肩に重力が落ちてきた。
何事か。とふと横を見てみると…そこには静かに寝息を立ててる獄寺が。
(うわー!獄寺くん近い近い近い!!!)
獄寺に密かに恋心を寄せるツナとしては嬉しいハプニング。顔を真っ赤にしながらも鼓動を高める。
と。そんな幸せタイムは古来より長くは続かないもの。
ぞくりと。身を刺すような視線がツナを貫く。
そっとその視線の方向を見てみると…そこには。
(…なんであの人が)
ツナがそう思うと同時に。
ガラリぴしゃりと教室のドアが開け放たれ…
「没収」
そんな言葉と同時に災厄が獄寺くんを攫っていった。
「…雲雀さんもキャラ変わったよなぁ」
獄寺を攫う時思いっきりどつかれた肩を擦りながらツナはぼやいた。
授業時間、眠る獄寺を抱きながら泣く子も黙る風紀委員長が歩いてる。
寝ている獄寺は危機感も眉間に皺もなく無防備だ。だから雲雀の機嫌もどことなくいいのだろうか。
これから向かう先は応接間。「没収」した獄寺を待ち受ける運命や…というとこで。
「お前さん何してんだ?」
現れたのは保健医の男。
雲雀は露骨に顔をしかめる。
「別に」
「別にってお前さん…うちの隼人を抱きかかえてその台詞はねーだろ」
うちの隼人。その台詞にぴくりと反応する雲雀。
「…この子は貴方の恋人。というわけでもないでしょうに」
「当たり前だ。隼人はオレのファミリー。息子みたいなもんだ」
あっさりとそう言い放つシャマルに、雲雀は少々面食らう。
「というわけで。息子が不埒なことをされそうになっているのを見過ごすわけにはいかない。単に心配しているだけなら問題はないが」
「………」
沈黙は獄寺の貞操の危機を肯定しているもので。やれやれとシャマルは獄寺を雲雀から取り上げる。
「ちょっと。返してよ」
「隼人はお前さんのじゃねーだろうが…。あと。オレは平和主義者だから争う気はねーんだ」
そう言うとシャマルは獄寺を抱えたまま窓に近寄り…飛び降りた。ちなみにここは二階だ。
雲雀が窓の外を覗き込むと、シャマルは普通に保健室へと向かっていた。
追いかけようかと雲雀は思ったが…運が良いのか悪いのか。廊下を柄の悪いグループが歩いてきた。
服装、態度、そして授業中だというのに外を歩いている…。間違いなく不良集団だった。
八つ当たりの意味も込めて、雲雀は不良グループを鎮圧させた。
「隼人も重くなったなぁ…」
そんな感想をこぼしつつ、シャマルは歩く。
その昔。獄寺の城にいた頃は眠る獄寺を何度も部屋まで運んだものだ。なんて懐かしい。
「こう、昔はドクター、ドクターってなぁ。後ろを着いて回ってきて…やべぇ、涙出そう」
遥か過去を思い出しシャマルは涙ぐむ。幼かった子供がこうして麗しく成長を遂げたのは嬉しくもありそして少しの淋しさもある。
なんて言ったって…
「はい到着…って」
「よう、ドクター」
保健室で待ち構えていたのは、小さな小さなヒットマン。
…現在の獄寺隼人の。恋人の姿。
「………」
「なんでオレがここにって顔だな」
「マァナ」
「オレに分かんねーことはねーんだ。以上」
これ以上ないほど簡潔な説明だった。
しかしリボーンはそれで本当に全てが説明付く。彼の情報網は半端ではない。
「…あーあ、お前さんが隼人が好きなだけなら反対のしようもあったんだけどな」
シャマルはため息を吐きつつ獄寺をベッドに寝かす。
リボーンが近付き、小さな手で獄寺を撫でると彼は安心したように微笑んだ。
「…隼人の方が、お前のこと好きなんだもんな」
「オレもちゃんと好きだから安心するといい」
「ソリャアヨカッタ。お前が隼人振ったら殺すからそこんとこヨロシク」
シャマルが嫌味と威圧たっぷりにそう言うも、既にリボーンは獄寺の横で鼻提燈を出していた。
「って早いな!聞けよオレの話!!」
シャマルがそう叫ぶも夢の中の二人には届かない。
シャマルは盛大にため息を吐くと、二人が寝苦しくないようにカーテンを閉じた。
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10000キリリク「獄寺総受けモードの争奪戦の最終的リボ獄」
コウモリ女様へ捧げさせて頂きます。
リクエストありがとうございました。
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