無害な吸血鬼
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オレが9代目の屋敷で目を覚まして、早くも三日が経った。
傷口はすっかり塞ぎ、動き回っても問題ないと言われたのだが外に出てはまた襲われるかも知れないと外出は禁止されていた。用心のために厚手のカーテンが閉められ、外の様子も分からない。
それは別にいい。不満はない。
また骸や雲雀に襲われてリボーンさんのお手を煩わせてしまうぐらいなら死んだ方がまだましだ。
まぁ、それはそれとしてだ。
「………」
暇だった。
退屈だった。
することがなにもなかった。
城にいたころは、食事を作ったり掃除をしたり。なんだかんだですることがあった。
だが、今は、なにもない。
食事は時間になれば使用人が持ってきてくれるし、掃除などしたいと言えば「お客さまにそんなことさせられません!」と言われてしまった。
ちなみに最初食事として輸血パックをもらった。オレはそれはそれは困った。オレは血など飲みたいと思ったことは一度もない。パンやシチューの方が好きだ。
食事が終われば次の食事の時間までなにもすることがない。屋敷の中は自由にしていいと言われたがなんだか居たたまれない。なんだか物凄く居心地が悪かった。
そういえばやきもきするオレを見かねてか、9代目が昨日苦笑しながらこう言っていた。
「明日私の孫が遊びに来るのだがね。よければ話し相手になってやってくれないかな」
その孫とやらはオレより少し年上らしい。話し相手。遊び相手。果たしてオレに務まるのだろうか。多少気後れしながらもオレは頷いた。
その孫とやらを待っていると、扉からノック。
はいと声をかけると、扉が開かれる。
「初めまして!オレおじいちゃんの孫で―――って、獄寺くん!?」
「はい?」
現れた、オレより少し年上の少年が自己紹介をする前にオレの名前を呼んだ。
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