無害な吸血鬼
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困ったことになった。


綱吉さんはリボーンさんにオレのことを聞き出すらしい。

それそのものは問題ないが、問題は綱吉さんの感情だ。

綱吉さんはどうやらオレがリボーンさんに襲われたと思っているらしい。五年前、リボーンさんはオレとオレの家族を襲い、家族は殺し、オレを小間使いにしたと。

…これが人間の一般的な吸血鬼の認識か…9代目が特殊なのだろう。綱吉さんは悪くない。悲しいけど。

けど、リボーンさんが人間を襲う?


ない。絶対にない。


五年前の家族旅行とやらは記憶がないが、それでもリボーンさんに襲われたなどと考えられない。

リボーンさんは人間を、いや人間に限らずなんであれ誰であれ襲わない。雲雀に攻撃されたときですら「理由がない」と言ってただひたすら防戦していたのに。あ、骸は知らないけど。

それに小間使いと言っても、リボーンさんはそれを必要としていない。オレが勝手にそうしているだけだ。


オレは特に、リボーンさんに必要とされていない。


そう自覚するとなんだか凄く虚しくなる。悲しくなる。が、事実だ。仕方ない。

リボーンさんがオレを傍に置いて得られるメリットは………


…あ。


ない。と思いかけてひとつ思い当たった。

血?

リボーンさんはオレの血を極上と言った。雲雀も言った。これはメリットと言えるか?オレを傍に置く理由になるか?

ううむと考える。時間ばかりが過ぎていく。夜にはリボーンさんが帰ってくる。