無害な吸血鬼
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「骸いるんだろ!綱吉さんはどこだ!!」


高らかにそう叫ぶと、またあの梟が現れた。奥の部屋に消える。

来いってことか。ここはリボーンさんの城なのに我が物顔しやがって。むかつく。

嫌々梟に着いていくと、ある部屋にたどり着いた。その部屋の中には綱吉さんがいた。

ていうか、ああ、綱吉さんってあの人だったのか。


「獄寺くん…大丈夫?」


何故オレが心配されるのか。ああ、汗か?いや、でも雨で隠れて分からないはず…いや、それはともかく。


「お怪我はありませんか?10代目」

「え…」


ぼんやりとしていた10代目の顔が驚きの表情に変わる。


「すいません、今、思い出しました」

「獄寺くん…獄寺くん!」


10代目が飛び付いてくる。前はオレと変わらない背丈だったのに…立派になられて。

10代目があの町に来たのは、オレが7歳を過ぎた頃。何故かは知らないけど、突然引っ越してきた。

…あの町で、周りがオレを信用しない中、10代目だけはオレを信じてくれた。オレの目や髪の色を見ても気味悪がらないでくれた。対等に接してくれた。

町を歩けば声をかけてくれて。遊んでいれば誘ってくれて。疑われては庇ってくれた。


嬉しかった。

神さまみたいだって、そう思った。

ああ、だけど。