無害な吸血鬼
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「リボーンさんは夜なにしているんですか?」
「寝てる」
「リボーンさんは日の光を浴びるとどう感じますか?」
「気持ちいい」
「リボーンさんは棺桶で眠らないんですか?」
「寝ない」
「リボーンさんは流れる川を渡れますか?」
「渡れる」
…あの本、紛い物なのかな………
オレは更に質問を投げ掛けた。
リボーンさんは不老長寿ですか?姿を霧や蝙蝠に変えますか?十字架とニンニクが苦手ですか?銀に弱いですか?心臓に木の杭を打たれると死にますか?
リボーンさんの答えは総じて「知らない」だった。オレはリボーンさんにも知らないことがあるのか!と驚いていた。
「ああ、まあ、最後のだけは分かるが。言うまでもないな」
最後の。心臓に木の杭を打たれると死ぬか。か。
なるほど。確かに言うまでもないことだ。誰であれなんであれ、心臓を杭でもなんでも打たれたら死ぬな。恥ずかしいことを聞いてしまった。
恥ずかしさを誤魔化すように、オレはさらに質問する。
「リボーンさんはどのくらい生きているんですか?」
リボーンさんは少し考えた。一瞬ではない。驚くなかれ、なんと数秒だ。
「数えたことはないが、だいたい数千年ぐらいだと思う」
あ。この人不老長寿だわ。
オレはそう確信した。
他にも色々聞いてみたい問いはあったのだが、身体が限界だと、もう寝なさいと言っている。ええい忌々しい。オレはもっとリボーンさんと語らいたいのに。まぁこれが語らいかと言われれば疑問だが。
視界が白くなり、リボーンさんの姿も消える。目よ仕事しろ。オレにリボーンさんの姿を見せろ。
仕方ない。この質問で最後だ。オレは少し前から気になっていた問いかけをリボーンさんに投げ掛けた。
「オレの血って、おいしいですか?」
リボーンさんの答えはすぐに来た。
「極上」
ああ、リボーンさん。
オレ、もう死んでもいいです。
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