俺が変われば何か違った?
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―――そして…問題の当日。
移動中、獄寺を見つける。
獄寺はどこか上の空で、遠くを見ている。
「獄寺」
「…っ!!」
声を掛ければ、獄寺は驚き飛び退く。
「り…リボーンさん」
「緊張してるのか?」
「それは…その、まあ」
「そうだな。帰ったらオレとのデートだもんな」
「!!!」
獄寺の顔が一気に朱に染まり、固まる。
「しかも費用はオレ持ちだもんな。どこに行く?リクエストがないならオレが勝手に決めるが…」
「り、リボーンさん…!!」
獄寺がオレの言葉を止める。
「も…もう、勘弁して下さい……」
「なんだ、迷惑だったか?」
「迷惑とか、そういう話ではなく……抗争に着く前に、死にそうです…」
それは困ったな。
「ああ、悪い」
「………」
獄寺は顔を俯かせ、思いつめた表情をしている。
…少し虐め過ぎたか。
これで士気が下がって死なれても困るな。
オレは獄寺に背を向け、離れる。
「…リボーンさん」
後ろから、獄寺の声。
「どうして…今更オレに、そんなことを言うんですか……?」
「知りたいか?」
「ええ」
「そうか。なら…この任務から生きて帰ったら、教えてやるよ」
獄寺は少し困ったように笑った。
「生きて帰るだけで、あなたとデートが出来きて知りたいことも知れるなんて…大盤振る舞いですね」
「ああ。出血大サービスだ」
そこでオレたちの言葉は終わり、身に纏う空気も仕事用に切り替えた。
殺し合いが、始まる。
いつも通りの戦場。いつも通りの面子。
いつも通りの天候。いつも通りの空気。
もう何度、この景色を見てきたのだろう。
もう何度、この光景を見てきたのだろう。
それこそ、飽きるほど見てきた。
この場所で、幾度となく、何度でも。
…お前が死ぬのを、見てきた。
それを、変える。
オレは影ながらお前を見守り、お前を討つ奴を撃っていった。
人がどんどん死んでいく。生きてる人間がいなくなっていく。
抗争の終わり。お前はまだ生きている。
ここまでお前が生きているのは…初めてだな。
お前は辺りを見渡して、何かを探している。
お前の目線がオレを捉え、オレの方へと駆けてくる。
ああ、お前はオレを探していたのか。
出来れば放っておいてほしかったんだけどな。
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