マフィアだということ
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「…ねぇ、獄寺くん」
「なんでしょう10代目」
ある日。ボンゴレ10代目ことツナが己の右腕と事務作業をやっていたとき。…少し前から気になっていた噂を確かめる為に聞いてみた。
「あの…さ。獄寺くんがリボーンの愛人になったって話が流れてるんだけど…」
「あ、本当ですよ」
ツナの心の葛藤を知ってか知らずか。獄寺はあっさりと答える。ツナは少し項垂れた。
「?どうかしましたか?」
「…なんでもない。……そうか、リボーンと…ね」
ああ幼き頃からの淡い恋心撃沈。どうせならその昔、いい雰囲気になったときにでもその場の勢いに任せて告白しておけばよかった。
「…?10代目?―――あ、心配なさらなくても大丈夫ですよ」
「え?」
「10代目がピンチの時は愛人も何も関係ありません。命に代えてもお守りしますから」
お任せ下さい、と胸を張る獄寺にツナは今一度項垂れる。ああ、この子駄目だ。相変わらず分かってない。
「あ―――でも愛人てことは、まだオレにも。見込みはあるかな?」
ツナが半分冗談――…そして半分本気でそう言うと、獄寺は。
「―――………」
少し複雑な顔をして。けれどすぐにあの笑顔に戻って。
「――…そうですね」
それだけ言って。そしてそこで会話は途切れて。二人はまた業務へと意識を戻していった。
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