マフィアだということ
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「お待たせしました」


約束の店には既にリボーンがいて、獄寺を待っていた。


「思ったより時間が掛かったな。ツナに喰われていたのか?」

「あはは。食べられてたらまだここには来られませんよ」

「逃げてきたのかもしれねぇじゃねぇか」


ぴっとリボーンは獄寺の服を指差す。少し皺になっていた。


「あ、これですか?実は10代目に抱きしめられてしまいまして」

「そしてオレからツナに乗り換えたのか。まぁ利口だな」


どこまで本気なのか。それとも全部冗談なのか。リボーンの表情は読めない。


「何言ってますか。乗り換えてなんていません。ちゃんとお断りしてきました」

「ほう。なんて言ったんだ?あのツナに」


リボーンは知ってる。あのツナが幼き頃からどれほど獄寺の事を好いているかということを。

故に獄寺がどんな言葉で振ったのかが少し気になった。


「えっと…言ったといいますか、キスしました」

「手の甲にか?」


手の甲のキスは尊敬もしくは忠誠のキス。最もそれであのツナが引き下がるとはリボーンは思わなかったが。


「いえ。おでこです」

「………どっちだ?」


額のキスは友情もしくは慈愛のキス。友情ならともかくしかし獄寺の性格を考えると…


「もちろん慈愛の方です」


やはりか。しかし困ったことにそれには一つ問題がある。


「獄寺。それ、ツナがキスの意味を知っていないとまったく通じねぇぞ」

「あれ?10代目知りません?」

「少なくともオレは教えてねぇ」


………。暫しの沈黙。


「まぁ、そんなどこか抜けたところもお前らしい、と」


まとめに出たリボーンだった。