マフィアだということ
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――平和な日々が続いているかのように思えた。


リボーンは変らず獄寺に愛人として接している。それがツナにはもどかしくてたまらないようだったが。

獄寺が本当にリボーンのことが好きなのなら愛人などに満足せずにさっさと本妻にでもなれと言うのだ。いや、ツナ本人の願いとしてはそれは願い下げなのだが。

というか、リボーンの獄寺に対する接し方は他の愛人と比べてどこか素っ気無いような気がする。


…昔からそうだ。リボーンはいつだって獄寺に対しのみ、どこか冷たかった。


はぁ、とツナは嘆息する。あれで獄寺は幸せなのだろうか。満足しているのだろうか。

自分なら。とツナは思う。自分なら獄寺をあんなに素っ気無い対応はしない。それはもう愛して愛して。愛するだろう。

けれど獄寺は自分ではなくリボーンを選んだのだ。無理強いは出来ない。またも嘆息。


ツナはそのことでずっと悩んでいた。いつしか心の余裕がなくなるほど。

ツナは忘れていた。一番初めに教えられたことだというのに忘れていた。

マフィアのボスたるもの、何時如何なるどんな時だって。気を抜いてはならぬということを。


―――忘れていた。