思えばそれが不幸の始まり
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「…シャマル。ヘルプだ。オレを助けろ。この異空間から今すぐ」

「あ?」


説明の省かれたSOSにシャマルは一瞬怪訝そうな顔をするが…すぐに状況を察した。


「よし。任せろ隼人。ここから逃げ出して…南の田舎辺りで平和に暮らそう」


しかしその推測は限りなく外れていたが。

頭を抱えた獄寺の手を取ろうとしたシャマルを二つの拳が迎え撃った。…さっきまで姫についての論等を繰り広げていたベルとディーノだった。


「お手付きは反則って奴だぜ!」

「そーゆっこった!!」


どういうことなんだろう。獄寺は結構本気で考えたが馬鹿の考えることが理解出来るはずもないと早々に諦めた。


「ククク…その程度でオレが倒されると思ったか小僧共…!!」

「なにぃ!?オレたちの直撃を受けても倒れないだと…!?」

「お前らとは年季が違うんだ!分かったかー!!」


そう叫んで反撃とばかりにベルとディーノに突っ込んでいくシャマル。

いい年こいた大人が何をやっているのだろう。遠目で獄寺は内心そう突っ込んだ。


「…なんだあれは」


そう思ったのは獄寺だけではないようだった。

ふと獄寺が声の方向に眼をやると…いつからいたのか、最強の称号を持つ暗殺者が呆れ顔で立っていた。

そういえば彼も今日はオフだったか。

そんなことを思い出しつつ、一応最初からいた身として説明をしようかと獄寺は思ったが…


「……オレにもよく…」


上手く説明出来なかった。

というか、説明するならベルが自分を姫呼ばわりしてきたところから話せばならない。

それは嫌だった。


「そうか。まぁ頭に蛆でも湧いたんだろ」

「そうですね」


酷い、あんまりだと当事者達が聞いたら嘆きそうだが獄寺はあっさりと同意の意を返した。本当にそう思ったからだ。


「それよりも獄寺。オレは今から買出しに行く。少し荷が多いからお前荷物持ちに着いてこい」


それはこんな所で油を売るよりもよっぽど有意義な提案だった。


「ええ。喜んでお供しますリボーンさん」


獄寺はこの場から立ち去れる理由をくれたリボーンに柔らかい笑みを向けて。一緒に街へと降りていった。


この後。


買出しのあとせっかくだからと一緒に食事に行き、荷物をリボーンの部屋まで一緒に運び…そこで紅茶を飲みながら日が暮れるまで話をして。

…最後に獄寺が部屋を出る頃合い鍵を手渡されたのは…また別の話。


あと。


「何!?隼人が姫だと!?」

「そう!あの気品!気質!容姿から何まで姫に相応しいとオレは考えるね!!」

「なるほど…な。確かに的を得ている…。隼人にぴったりだ!」

「流石だぜシャマル!あんたならそう言ってくれると信じてた!!あ。恭弥じゃねーか!今なぁ、スモーキンが…」


…こんな感じに獄寺隼人=姫の公式がボンゴレ内に密かに。けれど確実に浸透していったのもまた…別の話。


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9696キリリク「獄総受けのリボ様オチ」

マナ様へ捧げさせて頂きます。

リクエストありがとうございました。