真夜中の訪問者
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夜。

リボーンは自室のベッドで横になっていた。

眠い。

昼間活発にしていた反動か、夜間はスイッチが切れたかのように寝るのが常だ。

だが…


(寝れねぇ…)


今日に限っては何故か頭が冴えていて、中々寝付けなかった。

しかし身体は重く、思うように動けない。


眠れない頭、眠りたい身体。


それでも長い時間ぼんやりとしていれば、頭も次第に眠りへと落ちていく。

自分が見ているのが夢か、現か分からなくなってきた頃―――



「リボーンさん?」



声が、聞こえたような、気がした。

その声は、たとえ夢であろうと聞き違えるはずがない。


愛しき獄寺の声。


ごくでら、と声を出そうとした。

しかし唇は動かず、呻き声すら出てこない。

獄寺の気配は室内へと入り、自分のすぐ近くへ。


ああ、これは夢だ。


我ながら、なんとも都合のいい夢を見るものだ―――とリボーンは内心で苦笑する。

獄寺が自室を訪ねてくるなど、あるものか。

ましてやこんな夜中に。


「眠ってるんですか?」


そうとも。眠っている。

しかし歯がゆい。夢なら夢で、自分も起き上がりたいものだ。


「帽子。被ったままですよ」


そうだっただろうか。

いつもは脱ぐようにしているが、今日はさて。覚えていない。

帽子を取られる感触。暫くして、別の何かが頭に触れる。


なんだろうか、これは。


温かい、優しい、なにか。

それは心地よく、リボーンの夢はそこで終わった。