真夜中の訪問者
2ページ/全2ページ


朝。

日の出と共にリボーンは目覚めた。

いい夢を見た。獄寺が、あの獄寺が自室を訪ねてきて、そして―――


「…ん?」


気配。

見知った、見慣れた、愛しき気配。

ふと横を見ると、そこには夢の通りに獄寺がいた。


はて。まだ夢の中にいるのだろうか。


夢の続きか。それはなんとも嬉しく、喜ばしいことだ。

しかも今度は自分の自由も効いていると来た。

どこまでしていいだろう。夢とはいえ、やはり節度を持った行動を―――


「…ああ、起きられたんですね、リボーンさん」


リボーンの思考はやや疲れた獄寺の声でかき消された。

そして実感する。

これは夢ではない。現実だ。


「一体いつの間にオレの部屋に忍び込んだんだ?」

「忍び込んだは語弊があるかと思いますが…まあ、数時間前に」

「オレの帽子を直しに?」

「え!? 起きてらしたんですか!?」

「ほぼ寝てた。夢かと思った」


リボーンがそう言えば、獄寺は震え、俯く。


「なんだ、やましいことでもしてたのか?」

「し、してません」


震え声で獄寺。

解析。嘘半分。本当半分。リボーンはニヤリと笑う。


「してくれて構わないんだぞ。なにせお前は、オレの未来の旦那なんだからな」

「…オレには荷が重すぎますって」


リボーンは笑う。そして気付く。

自分の手と獄寺の手が、繋がっていることに。

なるほど、獄寺が朝まで―――自分が起きるまでここにいた理由はこれか。

獄寺は床に尻を付き、ベッドに背を掛け顔は後ろ。表情は伺い知れない。


「おっとすまんな」

「いえ…」


言って手を離せば、ようやく獄寺はこちらに振り向く。

やや疲れた顔。ずっと同じ体勢でいたのだろう。


「起こしてくれてよかったんだぞ」

「それは流石に…」


獄寺が気まずそうに顔を背ける。

ふむふむ。なるほど。どうやらやましさはこの辺りに起因する模様。

まあ、いい。リボーンは微笑む。そして。


「おはよう、獄寺」

「…おはようございます、リボーンさん」


一日の始まりを、一番愛しい人に告げるのだった。


++++++++++

で、何をしたんだ?

…それは秘密です。