深く出来た溝の埋め方
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マーモンは言葉を詰まらせ、代わりに怒気を膨らませる。

なんでこんな唐突に現れた女にここまで掻き乱されなきゃいけないのか。


こいつさえいなければ。


そんな思いがマーモンの心中を満たし、殺気を隠すこともせず獄寺へ向ける。

獄寺はマーモンに攻撃された時のことを思い出しながら、


「まあ落ち着けよ。別にオレはリボーンさんをお前から取ろうと思ってるわけじゃないんだ。いくらリボーンさんのことが好きだからって、がっつきすぎると嫌われるぜ?」

「なっ……!?」


突然の言葉に、マーモンの力が霧散する。


「ん?そうなのか?」


リボーンに無垢な眼を向けられ聞かれ、マーモンが更に動揺する。


「そそそそんなわけないじゃないばっかじゃないの!?リボーンなんて大っ嫌いだよ勝手に好きに生きたらいいんじゃないの!?」


マーモン。自爆。

獄寺は予想外の成果に内心驚いていた。

ボンゴレに向かうにあたり、獄寺はある程度の危険は覚悟しており対策もしていた。

当然マーモン対策もしており、彼女が幻術使いであることも調べた。

幻術対策として術者の精神を乱すことが有効…と知った獄寺は実はそれらしいことを言っただけなのだが…どうやら当たりだったらしい。

驚きだ。少しでも気を逸らした瞬間に打とうと思っていた手が無駄になってしまった。


「…なんだ。お前、もうちょっと素直になった方がいいんじゃね?」

「うるさい!!」


マーモンはローブから湯気を出しながら退室した。リボーンは戸惑い、ツナは苦笑している。