あなたを想うあまり
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時差、か…しまったな。全然考えてなかった…
『若き獄寺氏のことも少しぐらい考えて下さい。…では、代わります』
少しだけの沈黙。そして待ち侘びた獄寺くんの声。
『…10代目?ランボと何を話してたんですか?』
「…ん。なんでもない。それよりもさ、獄寺くん」
『はい?』
「ごめんね。無理させたみたいで。…オレ、獄寺くんのことまったく考えてなかった。食事はもう取ったの?」
『へ!?い、いえいえそんな!オレの事なんて気にしないで下さい!オレが勝手にしていることですから』
「でも…」
『いいんです。別にオレ、仕事でイタリアに来ているわけではないので…』
「…へ?」
『えっと…』
『――オレが無理言ったんだよ』
戸惑う獄寺くんの声が遠くなって。代わりに聞こえてきたのはディーノさんの声で。
「…あ、ディーノさん。まだいたんですか?」
『酷ぇ!』
うるさい。早く仕事に戻れ大人。
「…って、無理言って?ディーノさん獄寺くんに何したんですか?」
事と場合によってはただじゃ済みませんよ?
『将来、ボンゴレ10代目の右腕になる奴なら。色んな経験を体験しとかないとなって思ってよー』
あーはいはい。なるほど。もういいよ。
何かとオレ、「10代目」に拘る獄寺くん。いつだって「10代目」の役立つことは何かと考えている獄寺くん。
…頭いいくせに。どうしてこの問題になるとこうも馬鹿になるのか……
「―――ディーノさん」
『ん?』
「今度会ったら覚えてろー?」
『おー、ツナが怖ぇ。愛は人を変えるんだなー…』
まぁ否定はしないけど。
「…少しでも罪を軽くしてほしかったら一刻でも早く獄寺くんと変わって頂けます?」
『へぇへぇ』
『…10代目?』
「あ、獄寺くん」
オレは聞こえてきた可愛い愛おしい声に、けれど冷たく言い放ってやる。
「…獄寺くん」
『は、はい。何でしょう10代目…』
不安そうな声。けれどオレだって怒っているのだからこれぐらい勘弁して頂きたい。
…もしもディーノさんのいたずらがなかったら、オレと獄寺くんは今日もまた楽しく幸せに過ごしていたに違いないのだから。
「―――キミはオレの右腕になるんだろ?」
『は、はい!』
「だったら…オレの傍を片時も離れちゃ駄目でしょ!一刻も早くオレの所に帰ってきなさい!!」
『10代目…』
「返事は?」
『…はい!すぐに10代目の所へと戻ります!!』
「うん。よろしい」
そう言って。思わず笑ってしまう。
すぐに戻ると言ってくれた彼が嬉しくて。
そして次の日…本当にすぐに戻ってきてくれたのだろう、獄寺くんとは午前の授業の休み時間に再会を果たせた。
息も絶え絶えに、けれど笑顔な彼が可愛くて愛おしくて。
思わずオレの抱擁の刑にあったのは…まぁ、言うまでも無い。
そして後日談だが…
暫くの間、何故かディーノさんの傍には何人かの部下が護衛に付いていたらしい。
まぁ、忘れた頃にでもけじめ取らせて頂こうかと思ってます。
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リクエスト「ツナ獄な受けギャグ」
菜津美様へ捧げさせて頂きます。
リクエストありがとうございました。
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