願う少年、叶えるマフィア
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生き返って。
主人はマフィアにそう願いました。
それはどれほど無茶な願いでしょうか。マフィアは途方に暮れてしまいます。
でも、マフィアは主人の願いを叶えようと思いました。
それがどんなに無茶なことでも。それが主人の望んだことならば。
それを叶えるのが、己が使命だと思ったのです。
眼を、開ける。
身体中が、びきびきいってて。
身体の感覚がやけに遠くて。まるで自分の身体じゃないようで少し怖かった。
―――――と。
「はや……と?」
シャマルが、酷く驚いた様子でオレを見ていた。
……んだよ。見世物じゃねぇぞ。
とか言おうと思ったら。
びきびきびき!!
「―――――っ!?」
身体の皮膚という皮膚が、弾けるような感覚に襲われて。
め、滅茶苦茶痛ぇ……
………って、痛い?
痛いってことは……
オレ、生きてるのか……?
痛みを堪えながら、シャマルを見上げる。
シャマルは未だ唖然としていて。
やがてはっとした様子で、オレの治療に取り掛かった。
………いつの間にかオレは眠っていて。
気が付くと、部屋にはオレ一人で。
身体はまだびきびきいってて、痛かったけどそれももう随分収まっていて。
そうこうしているうちに、控えめなノックが聞こえて。
ドアの方を見直すと、ドアは開いて。
現れた主に、オレは微笑みで歓迎した。
マフィアは生き返りました。マフィアは主人の願いを叶えたのです。
生き返ったマフィアの元に、主人が急いでやってきます。
主人は泣いて喜びました。主人は泣きながらマフィアに抱きつき、何度もマフィアの名前を呼びました。
なんで、とか。どうして、とか。そんな事はどうでもよくて。
主人はただ、マフィアの無事を喜び、そしてもう二度とこんなことを起こさせないと誓いました。
めでたし、めでたし。
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そして夢物語は、現実へ。
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