眠れぬ森の
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……なんでないと我慢出来ないんだろうなぁ、オレ…

オレはリボーンさんの部屋までUターンしながらそう思っていた。

足取りは少し重い。リボーンさんの前で格好付けたのはほんの数分前だ。なのに忘れ物をしましたなんて戻ってきて。ああからかわれる…

とはいうものの、オレに煙草を諦める選択肢などと言うものは存在しない。いや、煙草はまぁ部屋に戻ればストックもあるがあのライターはそうにもいかない。

…いつだったか、リボーンさんがオレが好きそうだからと買ってきて下さったジッポライター。

まさかずっと愛用しているなんて言えない…!!ばれたらまたからかわれるネタが増える…!!

出来れば気付かれないうちに回収したいが…もう手遅な気もする。

だが、もしかしてという望みに賭けてオレはリボーンさんの自室の扉をノックした。

だが………


―――返事がない…?


オレがここを出たのがついさっき。無論リボーンさんと擦れ違ってなどいない。

ならばまだ室内にいると思うのだが…二度寝でもしているのか?はたまたオレが気付かなかっただけでどこかへいったのだろうか?


「…?」


そっと扉のノブを回してみた。

鍵は掛かっていなかった。


「…リボーンさん?」


リボーンさんは、いた。

室内の真ん中に。

その身を床に伏せさせて。


「リボーンさん!?」


思わず駆け寄る。

一体何の冗談だと思った。

だって、ついさっきまで。そう。ついさっきまでリボーンさんはあんなに元気だったのに。

ほんの少し。たった数分目を離しただけなのに―――