眠れぬ森の
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それから、オレは骸の言葉を忘れようとした。

いつもの何の意味もない、たちの悪い冗談だ。オレを混乱させようとしている。それだけ。それに乗っかってやる義理もない。

だというのに。


「アルコバレーノはもう長くない」


骸の声が消えない。まるで脳内にこびりついてしまったかのように響いてくる。

そして、その度にリボーンさんを見てしまう。

遠目から見るリボーンさんはいつも通りに見える。否、いつも通りだ。変わりなどあるわけがない。

そう思っているのに。分かっているのにいつの間にかオレの中に芽生えた不安が根付いて離れない。

…仕事に集中してないせいだ。もっと気を引き締めなければ。

そう思い任務に就けば、何の因果かリボーンさんも同じ任務に就いていた。

リボーンさんを間近で見る機会が増え、そしてその度仕事の正確さに改めて感服する。

だけど、それでやっぱりオレはリボーンさんは大丈夫なのだと安心出来た。あれはやっぱり骸の戯言なんだ。分かってはいたけど。


そんなある日の夜だった。

仕事が終わり、自室に戻っている途中だった。