眠り病
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獄寺は同室にいながら気を失ってしまった己を責めそうだがその辺りは周りに任せる。そもそも休まないお前が悪いとリボーンは思う。ツナの時はちゃんと休めよ、とも。

相手は一撃で仕留めに来るだろう。仕留められなかったら逃走に切り替え。こちらも一撃で相手を仕留めなければならない。

もし自爆覚悟で来るならその限りではないだろうがそうだとするとこちらが困る。なにせ獄寺に被害がいかないようにせねばならない。自爆する前に殺せばいいがそうなったらどうやって自分を殺す。

むしろ相手をわざと自爆させて自分は窓から逃げるか。獄寺を連れて。自分の身体をクッションに獄寺を助け…無理だな却下。

まあ恐らく自爆はあるまい。それをするならこの施設のあちこちで自爆して警備が薄れさせた方が成功率は上がる。獄寺なんて「様子を見てきます!リボーンさんはここに!」と言って出ていきそうだ。目に浮かぶ。


リボーンは静かに銃を構える。敵の気配はひとまず一つ。

相手が攻撃すると同時にこちらも一撃。それで死に相手も殺す。


攻撃を避けないでいいだけ多少は楽か。いや、身体は勝手に攻撃を避けようとするだろうからむしろ難しいか。

頭では死ぬつもりで、今死なずともいずれ死ぬ身体でそれでも生を願う身体には申し訳ないが付き合ってもらう。悪いな身体。

微かな気配が室内に入る。一瞬だけ殺気が膨れる。殺気の塊はそのままリボーンへ。

リボーンは引き金を引き銃弾を侵入者へ。身体に強い衝撃。向こうからも血飛沫。

撃たれた箇所が熱い。怪我なんて久々にした。致命傷は初めてだ。

相手が崩れ落ちるのを確認。向こうは即死か。こっちは急所が外れていたのかまだ生きてる。さて追い討ちは来るだろうか。来るなら死ぬ前に殺すが。

思い、辺りを伺えば銃声を聞きつけたか騒がしい足音が慣れた気配と共にこちらへとやって来る。

増援が来るなら追い討ちはこないだろう。獄寺は死なない。自分は死ぬ。計画通り。ミッションコンプリート。

リボーンは身体を背から後ろへ倒しベッドに横たわる。白いシーツが赤く染まっていく。

隣には未だ眠る獄寺。まさか最後の時に隣にいる奴が獄寺だとは思わなかった。

リボーンは目を瞑り、死ぬ努力をする。ここで蘇生されては目も当てられない。


力を抜き、意識を飛ばし、身体に言う事を聞かせる。

眠くなる頭。失われていく力。心臓に止まれと命令。


荒々しい足音と言葉と気配が室内に入り込むと同時、それから逃げるようにリボーンは眠りについた。


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じゃあな獄寺。またいつか、会う日まで。