望みの先にあなたはいるか
1ページ/全1ページ


―――思えば、オレは傷付くたびにあなたにもたれかかっていた気がします。


けれど、それは逆に言えば。

あなたはオレが傷付くたびに、オレの傍に来てくれたということで―――


あなたは不思議な人でした。

普段はとても素っ気無いくせに、なのにオレが辛いときは本当に優しくて。

普段はとても冷たいくせに、だけどオレが淋しいときは傍にいてくれて。

そんなあなたに好意を抱いたのは、いつ頃だったでしょうか。

尊敬の念が好意に変わったのは、いつ頃だったでしょうか。


いつしか、オレはあなたが好きになりました。


オレはあなたが傍にいて下されば幸せでした。

振り向いて下さらなくとも、結構だったんです。

だけどあなたという人は、オレが悲しいときに限り優しくして下さるから…


勘違い、してしまいそうになるじゃないですか。

有り得ないifを考えてしまうじゃないですか。

…期待、しちゃうじゃないですか。


ねぇ、聞いてくれますか?


オレ、結構自分のこと大嫌いだったんです。

周りにない色を持っている自分が嫌い。上手く立ち回れない自分が嫌い。こんな自分いなくなってしまえばいいと。

だけど、不思議ですよね。

大嫌いな自分が写る鏡ですら嫌いだったんですけど。

それなのに…あなたの眼に映るオレだけは好きでいられました。


優しいあなた。愛しいあなた。

冷たいあなた。恋しいあなた。


オレはあなたにどう思われていたのか、結局理解することは叶いませんでした。



あなたはあるひ、とおくへいってしまったから。



…オレも追いかけたら、怒られるでしょうか?

あなたを追いかけたら、怒られるでしょうか。


…大丈夫ですよね。


今のオレは、とても辛いですから。

オレが辛いとき、あなたはとてもお優しいですから。


ある日は、一晩中傍にいてくれましたね。

だけど今は、誰も傍にいません。


仲間が死んだ日は、震えが止まるまで抱きしめていてくれました。

だけど今は、あなたがいません。


気付けばオレは、傷付くたびにあなたにもたれかかっていたような気がします。

だけれどそれは、

あなたはオレが傷付くたびに、オレの傍にいてくれたということで。


…オレはあなたに依存しては、駄目でしょうか。

弱いオレは、あなたに縋ってはいけないでしょうか。

あなたが恋しいオレが、あなたを追って死に行くことは許されないことでしょうか。

それに応える声はなく。オレの中であなたの気持ちを確かめたいという気持ちがどんどんと高まっていく。

…いいえ。違いますね。

そんなもの、ただの言い訳に過ぎません。

正直に言いましょう。


オレは、あなたのいないこの世界でなんか生きたくない。


やがて暫くして、辺りに一つの銃声が響いて周りは静かになりました。

その行為についてあの人がどう思ったのかなんて、弱いオレに分かるはずもない。


++++++++++

今、あなたのもとへいきますね。