彼のデートのお相手は
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おー、これまた盛大にこけたなー…
「あ、あのくそ親父が、デートの相手…?」
まぁ、あの獄寺が嬉しそうにデートだなんて言う相手、そうはいないからな。
相手が冗談に「デートしよう」とか言って、それでそれを本気に捕らえるような相手といえば…
ま、沢田の人間ぐらいしかいねぇよな。
「ちょ、これ…どういうこと…?」
「あー、そういえばこの間あの二人がなんか言ってたな…」
「なんかって…?」
「獄寺が家光にこの間山奥で助けられただろ?それのお詫びがしたいとか獄寺が言ってだな…」
それでせっかくだから家光の野郎が「だったらデートしよう」とか何とか…
「なんでそんな大事なこと言ってくれないの!!」
「言う義理ねーもん」
あ。ツナがなんかショック受けた顔した。まぁいいか。ツナだし。
「…ま、獄寺のデート発言も本気って訳じゃなさそうだし。ここらで帰って昼寝でもしたらどうだ?」
「んー…そうだね…でも相手はあの親父…って!?」
「いやー、それにしても本当、獄寺くんは可愛いよなー!!」
「わ、わ!?お、お父様!?」
「あー!あのくそ親父、獄寺くんにあんな馴れ馴れしく手を肩に回して…!」
「おー、獄寺の奴顔を真っ赤にしてるなー」
「獄寺くん今だ!振り払って顔面パンチをお見舞いしろ!!」
あの獄寺が家光相手にするわけねぇだろうが。
「獄寺くんー!好きだー!!」
「はわっ!?おおおおお、お父様!?」
「こ、今度は抱き寄せた!!」
「流石に獄寺も慌てふためいているな」
「獄寺くん今だ!大声で『この人痴漢です!』って言うんだ!!」
山本や雲雀じゃねぇんだから言う訳ねぇだろうが。
「んー、獄寺くんー」
「はわー!?」
「なー!?なななななー!!!!」
「おー、流れるような動作で頬にキスかー。公衆の場でよくやるなー家光」
「ななな、いきなり何をするですかお父様!!」
「何を言うんだ獄寺くん。これは沢田家に代々伝わる親交の儀式。いわば軽い挨拶だ」
真顔で嘘付いてんじゃねぇよ。
「なんだ、そうだったんですかー」
お前も納得するなよ。
…で、さっきから大人しいツナはというと。
「…なるほどー…キスってああするんだ…」
家光の行動を参考資料として捉えていた。
ああ、何ていうか、蛙の子は蛙って言うか。
こうしてツナも家光みたいな馬鹿親父になるんだろうな。きっと。
………はぁ。
つーか絶対家光はツナの存在に気付いてるだろ。その上であえて煽るような行動してるんだろ。
だってあいつ、笑い堪えてるのか肩震えてるし。
「あー、馬鹿ばかし。…帰ろ」
「ちょ、リボーンどこ行くのさ!」
「相手が家光ならいざとなったらお前が出て行って止めれば済む話だろ?オレは帰って昼寝でもする」
―――…そんなわけですぐにこの事態に見切りをつけて帰ったオレだが。
後日。なにやら思い悩んでいる獄寺と遭遇してしまったものだからとりあえず事情を聞いてみたら。
「その…今度、10代目とお父様とオレとでデートすることになってしまいまして…」
何があったのか知りたくもないが、とりあえず頑張れとだけ言っておいた。
オレに出来ることといえば秘密裏にそのデートの当日、急に任務でボンゴレに戻らなくてはいけないような事態にすることぐらいしか出来ないが…
うん。本当、頑張れ。獄寺。
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オレは高みの見物してるから。
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