オレ様な彼
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「遅い」


イギリスに着いたオレに開口一番告げたリボーンさんの一言がそれだった。


えー、マジすか。

オレ、こう見えてかなり急いできたんですけど。他の誰でもないリボーンさんの為に急いできたんですけど。


「お前、誰か部屋に入れてたな。誰だ?」


何で分かるんすかこの人。アルコバレーノってもしかしてエスパー?


「お前がオレの頼み事を言い淀むのは他の誰かがいるときだけだろ。前はツナだった」


ああ、そう言えば昔そんなことがあったような気も。


「…ランボですよ。あなたに泣かされたと泣きつかれてきて。少し相手をしてたんです」

「オレは知らんが」

「でしたら10年前の話でしょうね」

「時候だ、そんなの」


まぁオレたちにとっては10年前でもあいつにとっては五分前だからなぁ…とオレは少し遠い目。

って、心なしかリボーンさん少し不機嫌じゃありません?


「まぁ、それはどうでもいい。そういえばお前食事がしたいとか言ってたな。まだ腹減ってるか?」

「それはもう」


正直空腹で倒れそうなぐらいですが。


「そうか。オレもだ」

「え?」

「お前が来るのを待っていたらもうこんな時間だ。とっとと食いに行くぞ」


と、リボーンさんはオレの手を引いて人込みまで入って行く。


「…別に、先に一人で食べていて下さっても構いませんでしたよ?」


というか、いつものリボーンさんならそうしてる。オレの分すら平気で平らげるぐらいはする。

…って、何故にリボーンさんはオレをじと目で見たりしますか?


「………そんなにお前…」

「はい?」

「そんなにお前………ランボと飯が食いたかったのか?」

「は?」


え?リボーンさん今なんて言いました?

今のリボーンさんの言葉を考えると…なんだかまるで、リボーンさんが、ランボに………


「ふっ………くくく、あはははははははっ」

「…何がおかしい」


リボーンさんが憮然とした表情で何か言っているが、オレはそれに答えられない。…笑いすぎて腹が痛くて。


「い、いえ、ははっ、リボーンさんのジョークが面白すぎてですね…っ」

「あ?」

「だってリボーンさん…、クク、まるでランボにやきもち焼いてるみたいで…はは、あははっ」

「……………」

「そんなわけないじゃないですか。ランボよりもあなたと食事がしたいですとも。ええ」


と、オレは極めて真面目に答えたと言うのに、何故かリボーンさんは表情を崩さなかった。

ただ無言でオレの手を握り、そのまま店まで入って行った。


後日、あの時どうやら本当にリボーンさんはやきもちを焼いていたらしいことを聞いて思わず吹き出してしまったのは言うまでもない。


++++++++++

「ねぇリボーン。獄寺くんは?」

「アジトで仕事だ」

「ふーん………長距離恋愛で大変だね。不安になったりしない?」

「不安?」

「浮気とか…」

「は、あいつに限ってそんなことあるわけ…」

「リボーンに会えない寂しさでつい遊びで誘いに乗ったり…言っとくけど、獄寺くん狙ってる人は大勢いるからね?」

「……………」

「そういえば最近ランボと獄寺くんがよく一緒にいるって噂を聞いたことが」

「獄寺。今電話いいか?」

(リボーン意外に現金ー!!!)