お幸せに
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姉貴はちっさい頃からずっとずっと苦労をしながら育ってきたので。
なので貴方が幸せにしてあげて下さいと、獄寺は笑いながら言った。
そんな獄寺にビアンキは恥ずかしそうに口を尖らせる。本人の目の前で言うことじゃないんじゃない?
しかし獄寺は悪戯っぽい笑みを向けるだけだ。まぁたまには良いじゃないかと。
ほのぼのとした空気が流れている。姉と弟のゆったりとした時間。幸せの一時。
「まぁそれはそれとして置いといてだ。オレの話を聞け」
「あ、はいすいませんリボーンさん」
「―――実はな。オレもそろそろ腰でも落ち着けようかと考えてな」
腰を落ち着ける。つまりは結婚、婚約だろうか。
しかしそろそろも何も彼はまだ10代だったと記憶しているが。まぁいつ死ぬかも分からぬこの所業。相手がいればそれもまた自由だ。
「そうですか…応援します。ってまさか相手は姉気ですか?」
「いや、ビアンキは今まで通り愛人だ」
仮にも本人の前で言うことだろうか。流石のビアンキもむっとしている。
「ちょっと。それじゃあ一体誰なのよ。貴方の相手は」
嫉妬深いビアンキの凄みにも怯まず。リボーンはあっさりと答える。
「獄寺」
「―――へ?」
いきなり名を呼ばれて獄寺は理解出来ない。え?何?何の話ですか?
「お前をオレの正妻に迎えたいと思う」
「え?へ?…えぇ!?」
「なんだ。オレだと不服か?」
「まさか!そんな滅相もな…じゃなくてその、」
「―――素晴らしいわ隼人!!」
傍若無人なリボーンと、いきなりの出来事についていけない獄寺と。さっきまでの不機嫌がどこかへすっ飛んでしまったようなビアンキと。
「何もしなくてもリボーンなんて大物を釣り上げるだなんて流石は私の弟!!」
しかも正妻だなんて!とビアンキはきゃあきゃあ一人で騒いでる。先程までの殺気と不機嫌さはどこへ行ってしまったのか。
「確かにビアンキも幼い頃から苦労しているだろうが、それはお前だって負けず劣らずだろうが。お前も幸せになれ」
「な、幸せって…オレは今で充分幸せです!だから大丈夫です!」
「なんだお前オレを応援すると言ったのに結局突き放すのか。オレを振舞わすとはやるな」
「ち、違います違いますー!というかなんでオレにそんな拘るんですかー!?」
獄寺の思わずの叫びにリボーンはきょとんとなって。ああそうか。順序が逆か。
「オレがお前に拘るのはお前が好きだからだ。そういえばまだ言ってなかったな」
あっさりとそう言い放つリボーンに獄寺の顔が朱に染まる。
「…了平も良い事を言うな。まさしくタコだ」
「うううう、うわーん、姉貴、リボーンさんがオレを苛めるー!!」
逃げ場を失い思わずビアンキに飛びついてしまう獄寺。ビアンキはころころと笑いながら。
「あははははは!リボーン、貴方そんなプロポーズも出来るのね。私初めて知ったわ!!」
「オレがいつもしてるのでは獄寺に逃げられそうだからな」
いつもしてるのってどんなことなんですか!?
獄寺が色んな意味でショックを受けていると、ビアンキは胸の中の獄寺をぎゅっと抱きしめる。
「…でもねリボーン。流石の私もそれは認められない」
ビアンキのまさかの否定の言葉にリボーンも少し驚いた様子だ。ビアンキは続ける。
「だってね、―――隼人を幸せに、これ以上ないほど愛するのは私だから!!」
しまったここも危険地帯だったー!!!
獄寺は己の逃げ込んだ所のデンジャー具合に嘆いたがしかし時既に遅し。
そんな獄寺とビアンキにリボーンはなるほどと頷いて。
「しかしそういうのを最後に決めるのは獄寺だろう。ビアンキ。一つ勝負をしないか?」
「?勝負?」
「今から三人で同時デートをして獄寺をより満たした方が勝ち。簡単だろう?」
え…オレの意思は?
人権問題に悩む獄寺を置いて話は進む。
「ふふふ…面白いわ。いいでしょう、どちらがより隼人に相応しいか―――勝負よ!!」
だからオレの意思は―――!?
しかし獄寺に拒否権はいつものようになく。
獄寺は姉とその愛人にずるずると引き摺られて行った。
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「で、結果は?」「無論オレの勝ちだ」
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