押してダメでも押してみろ
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獄寺はあっさりと引き下がり、踵を返し立ち去った。
あとに残るはツナとリボーンのみ。
しかし騒ぎは収まらなかった。ツナは胸部に振動を覚える。見れば、リボーンにぽかぽかと叩かれていた。
「…馬鹿野郎、ツナ、てめぇ獄寺が傷ついたらどうしてくれる」
「えぇー…」
ツナは力ない声を出した。リボーンのために行動したというのに、なんか、ダメだった。
「獄寺くんから逃げ回ってたくせに」
「それとこれとは話が別だ」
なんという我が儘。さすが俺様。
「獄寺くんが迷惑じゃなかったの?」
「そんなんじゃない。ただ、その、なんだ……照れて、困ってただけだ」
「…う、うん」
どうやらリボーンは獄寺から逃げてはいたが、嫌っているわけでもないらしい。
複雑なリボーン心だった。
「嫌ってないんだったら、付き合ってあげれば?」
「ば、馬鹿。つ、付き合うとか、そういうのは……大人になってからだ。オレたちにはまだ早い」
なんという純情。
「…今日日幼稚園児だって付き合ってる子、いるよ」
「なんだと!?」
リボーンは本気で驚いていた。まあ、言っておいてなんだがツナもそれは早熟すぎると思わないでもない。
「…だが、オレは赤子だ」
「獄寺くんと年齢合わせて平均すれば七歳ぐらいだから大丈夫だよ」
「…なるほど」
リボーンは納得した。
リボーンは馬鹿だった。
「………よし」
暫し、リボーンは逡巡し…意を決して、ツナから降りる。
「どこ行くの?」
「聞いてくれるな」
そう呟いて、リボーンは獄寺が去った方角へと消えた。
あとには、弁当箱を持ったツナだけが取り残されていた。
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