親子
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むかしむかし、あるところにとてもとても仲睦ましい夫婦がおりました。

夫婦は毎日とっても幸せでした。

けれど、たった一つだけ生活に不満がありました。

その夫婦には…天からの授かり者が降りて来なかったのです。


「…どうしてオレたちには…子供が出来ないんでしょうね…」


と、少し寂しげに…妻である獄寺は呟いた。


「獄寺…」


最愛の妻の声を聞いて、夫であるリボーンは獄寺に近付いた。

獄寺はリボーンの接近に気付いて、そのまま抱きつく。


「リボーンさん…オレは……とても悲しいです」

「………」

「オレは毎日毎日…強く天に祈っているというのに!!どうしてコウノトリはやってこないのでしょうか!!!」


そりゃあらゆる意味で出来ねーよ。


リボーンは内心で突っ込んだが、口に出したりはしなかった。

獄寺は外見は大変美しく、内面はとても可愛らしいのだが…頭の方は少しばかり残念な子だった。

しかしそんなところにもリボーンは強く強く惹かれているのであった。


「…子供が、欲しいのか?」

「…欲しいです。…あなたとの、子供が…」

「そうか…」


リボーンは短くそう呟いて、


「一晩待ってろ」


と獄寺に告げた。


「一晩…?」

「ああ、一晩だ」

「はぁ…」


訳の分かってない獄寺を置いて、リボーンは身支度を始める。


「あの…リボーンさんどちらへ?」


おずおずと問い掛ける獄寺に、愛妻家のリボーンは短くこう告げた。


「コウノトリを狩ってくる」