親子
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「じゃあ、真相がはっきりしたところで知らせがある」
「知らせ?」
「ああ。来週からツナはボンゴレに返すことになった」
「え!?そうなの!?」
「え!?そうなんですか!?」
って母さんも知らなかったのかよ!!
「そろそろツナに、ボンゴレについて本格的に教えないといけないって9代目が言っててな」
「そう…なんですか……」
え?え?ちょっとそっちまでは知らなかったんだけどオレ。来週って少しばかり早くない?オレにだって心の準備というものが。
「心配するな。度々顔見せに行ってやる」
「いや顔見せって…母さん、何か言って…」
「…そうですね。はい、10代目頑張ってくださいね!!オレ、毎日10代目の様子を見に行きますから!!」
ワオ!母さん見切り早!!
颯爽とオレがここを出ることに納得しちゃったよ!!
いや、まぁ、ここにいる誰にも拒否権なんてないだろうけどさ、でもさ、その、なんか……
「ま、諦めるんだな。早めに荷物を纏めて置けよ」
「…はーい」
オレは渋々返事をした。
つかこっちの方を先に言っとけよ親父…!!
「…って、オレ本当に行って大丈夫?」
「なんだいきなり」
「だって母さん…一人にして本当に大丈夫?」
「要らん心配だな。お前が来るまでだって、オレ一人でどうにかしてたんだぞ」
「いや、そうだけど…でも母さんを狙う輩は年々増えてるんだよ?」
本当、母さんの魅力は年を重ねるにつれ衰えるどころか更に磨きをかけている。
一緒にお風呂にも入ったこともあるのに、本当に母さんが男なのか(なにこの文)信じられなくなるときもある。
ちなみにそのことをこっそり父さんに言ってみたら、
「馬鹿かおめーよく考えてみろ。天使に性別はないんだぞ」
という言葉が返ってきた。(真顔で)
馬鹿か。馬鹿なのかこの赤ん坊。と思う同時に「なるほど、その通りだ」と思ったことは秘密だ。
…話が脱線した。
「ただでさえ母さんは知ってる人だろうが知らない人だろうがほいほい着いて行っちゃうのに…!!!」
「…そーだな。本当それだけどうにかなってくれればオレも助かるんだが…」
母さんはオレと父さんがどれだけ言って聞かせても一歩街に出れば誰彼構わず声を掛けられそしてさらわれそうになる。
おかげで父さんは嫌な予感がすれば仕事を放り投げて母さんの様子を見に行っている。
とにかく、そんな母さんを父さんにだけ任せても良いものか……
「じゃあ、あれだツナ」
「え?」
「お前が早く正式なボンゴレ10代目になって、獄寺に手を出したら殺すっていう法律を作れ」
「…頑張る」
10代目になるための目的が出来てしまった…思いっきり公私混同だけど許してもらおう。
「じゃあ、覚悟決めて行くけど…でも本当顔見せに来てよー…オレ一人じゃ不安いっぱいで死にそうだよ」
「なに、お前なら大丈夫だ。なんてったって、お前はオレたちの子なんだからな」
―――。
不意打ちは卑怯だ。
父さんはいっつも厳しくて、母さんしか見てない癖に。
こんなときにこんなこと、言うなんて。
「お風呂上りましたー…って10代目?泣いてるんですか?…は!リボーンさん!?」
「なんだ?」
「また10代目をいじめたのですか!?もう、駄目ですよ!?」
「ちが、違うんだよ母さん」
「10代目?」
いつもオレの味方で、いつもオレのことを考えてくれる母さん。
本当に分かり辛いけど、なんだかんだでいつもオレを助けてくれる父さん。
例え血の繋がりはなかったとしても。
この二人はオレの本当の両親だ。
「オレ…頑張って10代目になるからね!!」
「10代目…」
そして…オレが10代目になったなら。
母さんをオレの右腕にして。
父さんをお抱えヒットマンにしよう。
そうしたら、もう離れることもなく。
いつまでも一緒にいられるだろうから。
++++++++++
母子へ続く。
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