手作りパイを愛しのあなたへ
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母さんがパイを作ると言ったら、その場にいた獄寺くんが手伝うと志願した。

一体何事だろう?


「そうそう獄寺くん、その調子よー」

「は、はい!」


台所から母さんと獄寺くんの声が聞こえる。

とりあえず獄寺くんが白のエプロンをして髪を結んで、一生懸命料理をしているというのは非常にヨロシイ。

なんかもうそれだけで生きててよかったって言うか、今日という日をありがとうというか、ああ獄寺くん可愛い…!


「じゃあ獄寺くんはそっちの作業をお願いね」

「はい!お任せ下さいお母様!!」


お母様かぁ…いいなぁいいなぁ。オレの母さんをお母様って、なんかさ…オレと………なぁ、ねぇ?


「さっきからなににまにましてんだ。気持ちわりぃ」

「っていたのかよりボーン」


最悪だ。今までのテンションが台無しだ


「…つか、あいつ料理のときも危なっかしいんだな」

「え?」


と、リボーンの言葉に台所を見てみれば、


「あらあら獄寺くん。少し力入れすぎちゃったかしら?」

「す、すいません…」


うわぁお。


オレが目を放している隙に何があったのか。

獄寺くんの顔やら服やらに白いものが付着していた。


「生クリームを力一杯掻き混ぜたみてーだぞ」


な、なんだとう…!?生クリーム!?

それは是非とも飛び散る瞬間を目撃したかった…!生クリームが顔にかかって驚く獄寺くんとか!!

「ちなみにオレは一部始終どころか全部見た


この野郎。羨ましいな


って、あ。獄寺くんがこっちに気付いた。

…ってもう、はにかみながら微笑むなよもう!!可愛いな!萌えるな!!!


「ツナ。床をごろごろ転げ回るな。うざい


リボーンが超酷ぇ。


しかし獄寺くん、なんで急に料理なんか?


「…まったく、可愛い奴だ」

「リボーン?何?妄想なら声は出さないでやって。オレのように

「さり気に問題発言が出たが…オレのは妄想じゃねーぞ」

「それってどういう…」

「リボーンさん!」


と、エプロンを脱いだ獄寺くんが出来立てであろうパイを持ってやってきた。(髪は結んだままだ。萌え)


「その…リボーンさん、前「パイが食べたい」って仰ってましたよね…もしよろしければ…その、」


うおおおおお、もじもじしながら言ってくる獄寺くん可愛い…ってか、生クリーム全部拭えてないし。萌え。


「そうだな。貰うぞ」

「はい!どうぞ召し上がって下さいリボーンさん!!」


当たり前と言わんばかりに獄寺くんの満面の笑みとパイを受け取るリボーンに多少の殺意やらなんやらを覚えないではなかったけど、幸せそうな獄寺くんの手前黙っておいた。

オレの下には母さんの作ったパイがやってきたけど、何故だか獄寺くんのパイの方が美味しそうに見えた。


「はいリボーンさん、あーん」

「ん」

って、そこまでするのかよ!!


オレの魂の突込みは悲しいことに二人には届かず。

リボーンが年相応の姿でパイを頬張り、リボーンのほっぺたに付いた生クリームを獄寺くんが指ですくって口に入れてる頃にはオレは居間を退室していた。


なんていうかもう、勝手にしてろお前ら。


++++++++++

二人ともクリームまみれ。