亡き右腕
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その情報を獄寺が知ったのは、獄出が行動を起こすほんの少し前。

リボーンに頼まれていた仕事を片付け、その報告に来たときだった。


渡されていた合鍵で部屋に入り。けれど主の姿はなく。ただ彼専用のパソコンのディスプレイだけが光っていた。

覗き見るつもりなどなかった。資料を机に置く時にふと眼の端に捕らえただけで。それ以上を見るつもりなんて。

ただその時見えた仲間の名前。そして敵対ファミリーの名称に思わず――見てしまった。

そこには古株のボンゴレメンバーと敵対マフィアとの相互関係が表されていた。

ショックで、思わず力が抜けたところで後ろから抱き支えられる。リボーンだった。


「大丈夫か?」

「あ…はい、……いえ」


立とうとしても上手く力が入らない。気が付けば身体が小さく震えてた。


「大丈夫じゃ…ないです」

「そうか」


リボーンは獄寺を椅子に座らせる。ディスプレイの明かりを消す。


「…すいません、見るつもりじゃなかったんですけど……」

「いい。付けっ放しにしてたオレにも積はある。それにいつか言うつもりでもあったしな」


リボーンは獄寺の持ってきた資料のチェックをし始めて。


「あの、リボーンさん、…さっきのデータは―――」

「ああ、最近要らぬ噂を聞きつけてな。放っておくつもりだったが少し気になって調べてたら…当たりだった」

「そう…ですか」


それきり獄寺は黙り込む。リボーンが調べたのだ。間違いなどどこにあろう。

獄寺の頭では同じことがぐるぐると回り続ける。彼らと初めて会った日から今日まで。そして先程のデータ。

全てはボンゴレを、自分たちを裏切るためだったのか。全ては嘘だったのか。


「獄寺」


リボーンが短く名前を呼ぶ。獄寺が顔を上げるとリボーンの射抜くような視線に貫かれる。


「あまり深く考えるな。この問題はオレが一人で片付ける」

「………」


獄寺は弱々しくリボーンを見上げる。納得しかねている様子だ。


「不服か?」

「…その、話が…したい、です」

「駄目だ」


言い切られる。それもそうだ。ここまで来てどんな理由があろう。


「実行する前にツナにも報告する。お前は何もしなくていい」

「……………はい」


暫くして身体が落ち着いて。獄寺は部屋をあとにする。元々資料を渡しに来ただけだ。


「失礼しました…」

「ああ、…そういえば今度の抗争。裏切りが一人混じっているな。まだ奴らも動かないと思うが…一応気を付けておけ」

「―――はい」