亡き右腕
12ページ/全18ページ


そうして獄寺は任務へ出た。裏切り者の混ざった仲間たちと共に。

どうしても獄寺は意識してしまって。視界の中にどうしても入れてしまって。

それで奴にからかわれもした。なんだオレに気があるのかと。むきになって否定して。それでみんなに笑われて。

何も変らない、いつも通りだった。いつも通り優しい彼で。…裏切り者だなんて信じられなくて。

それでも視界に入れてた。どうしようもなかった。全ては嘘か、なにかの間違いであってほしかった。


そして、抗争中。


戦いの最中でも、獄寺は見ていた。ずっとずっと。

無論自分も戦いながらだが、それでも―――見ていた。

そして。戦闘もこちらの流れになってきた頃。

獄寺は見た。見てしまった。

彼が。いつも通り優しかった彼が。いつも通り笑っていた彼が。

とても冷たい瞳で、雲雀を見ていて。

その手に持っている拳銃で、雲雀を―――


――――タァァァアアアンッ


身体が、腕が、指が。勝手に動いた。

彼を撃った。今まで散々世話になった彼を。撃った。


撃ってしまった。


撃ったあと、そんな自分が信じられなかった。

血を噴き出しながら彼は倒れた。

唖然としてしまった。

周りのみんなも茫然としている。

嫌な汗が流れる。気持ち悪くて吐きそうになる。

それら全てが耐え切れなくて。獄寺はその場から逃げた。


泣きたくなった。


話をしたいと言ったのは自分なのに。結局それをする事なく撃ち殺してしまった。

何か理由があったのかもしれないのに。

もしかしたら万人全てが納得出来るような、仕方ない理由があったのかもしれないのに。

ことによれば自分にもなにか手伝えることがあって。それで万事解決出来たのかもしれないのに。

分かっている。そんなことはこんな世界で起きるはずがないと。

知っている。どんな事情があったとしたにせよこの世界ではそれこそ言い訳にすらならないと。


…でも。


獄寺は理由を聞く方法を取る事なく殺してしまった。

一人逃げ延びて頭を抱える。誤解も何もない。まるで自分は仲間殺しだ。間違いではないが。

まだリボーンは誰にも説明をしていないだろう。彼に負担を掛けてしまうな。困った。

―――獄寺は暫し考えて、ボンゴレに戻ることを決意した。

…彼の仲間に。裏切りメンバーに会うために。