亡き右腕
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それからリボーンはボンゴレに帰って。己の罪だけを告白して。
そうしてそれから長い年月をかけて獄寺の行方を追っていた。
そしてやっと見つけた。これでどうして逃がせられよう。
「でも、あのあと追ってこなかったのはちょっと意外でした」
隙を作ってあの場から逃げても。貴方に追いかけられたらすぐに捕まってしまうことは目に見えてましたから。
ですからどうしようって、実は逃げながら考えていたんですよ。
獄寺は笑いながらそう言って。ようやくこちらを見て。
「何で見逃したんですか?」
「オレが追いかけていたら、お前どうしてた?」
そのリボーンの問いに獄寺はやっぱり笑いながら。
「そんなの決まってるじゃないですか」
10代目の命に逆らうのは嫌ですけど。
でも、こんなオレがボンゴレに戻るのはもっと嫌ですから。
逃げながら。走りながら。血を流しながら。慣れない左手で。けれどそれでも充分で。
弾が一つでも残っているのならば、引き金が引けるのならば。あとはもう簡単な作業。
パンって、撃ってしまえばいい。
「ああ。だから追いかけなかったんだ」
追って死なれるよりは、逃がして生かすほうが得策だとリボーンは踏んだ。
狂い掛けた思考が少しでも正常に戻ってから引き戻した方がいいと。
「ツナの命を覚えてさえいれば、自殺する可能性は低いと思ったからな」
「…正解です。もう、死ねない苦しみなんて懲り懲りです」
生の価値が見いだせなくて。
死にこそ希望を持って。
こめかみに銃を向けて。
あとは曲げた人差し指を引くだけなのに。
その度に…リボーンの声の、ツナの命が頭を過ぎった。
「狂うかと思いました」
「よかったな。狂わなくて」
「…出来ることなら狂いたかったです」
そうすれば死ねたから。
「そこら辺は賭けだったがまぁ結果オーライだ。計算外な事もあったが」
獄寺を見つけ出すのにこんなにも歳月が流れてしまったこと。それだけが予想外だった。
銀髪の片腕。それだけで範囲は絞れそうなのに獄寺は巧みに情報の裏を掻いて。逃げ回っていた。
「ええ。死に物狂いで逃げ回りましたから」
「皮肉だな」
それに集中することで。それを生き甲斐とすることで発狂を免れたとしたならば。ああ、まさしく皮肉とはこのことか。
「いい加減諦めろ獄寺」
「…嫌です。貴方こそいい加減諦めて下さい。オレを裏切り者として撃ち殺して下さい」
「お前が一体いつどこで誰を裏切ったってんだ?」
「ですから…!」
獄寺が苛立ったかのように叫ぶ。ようやくリボーンのペースになる。
「お前は誰も裏切ってなんかねー。だから殺さねぇ。それでも逃げるのは勝手だが、お前まさか本気でオレから―――」
と、リボーンは何かに気付いたように笑った。いつもの、あの笑み。
「…いや、お前本気で―――――…オレたちから逃れられると思ってやがるのか?」
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