亡き右腕
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獄寺がその言葉の意味を噛み砕いて、怪訝顔する暇すらなく。


「ご、ご、獄寺氏ーっ!!」


そんな頼りない、そして数年もの間聞いてなかった情けない声。

振り向く間に抱きつかれる。そこには…あの頃とまったく変わっていない―――


「ラ…ランボ…?」


狼狽する獄寺。どうしてここに。何でここに。聞きたい疑問は言葉にならない。


「み、見つけた…!やっと見つけたようやく見つけた!!見つけました見つけました見つけました!!!」


ランボは獄寺に抱き付いたまま見つけた見つけたと繰り返す。泣きながら。

ぼろぼろ泣き続けるランボの身体は震えている。その手はもう離さないとばかりにしっかりと獄寺の身体を繋ぎとめる。


「お前…なんでこんなとこに。…てか、離れろ」

「や…です!いやです!離れません!離しません!!!」


力の入りにくい左手でランボを追いやろうとするもランボは更に抱きついて。離れない。


「この、はーなーれーろー!」

「いーやーでーすー!!」


…駄目だこれは。埒が明かない。


「…はぁ、ていうかなんでお前ここにいるんだよ。まさかリボーンさんを着けて来たのか?」

「オレがそんな三下に着けられるわけねぇだろうが」

「………そうですよね」

「ひどい…」


先程の涙とまた違う涙を流すランボだった。


「でも…だとしたら、なんで……」


疑問符を浮かべる獄寺に、別の方向から声が投げかけられる。


「そんなの、決まってるじゃない」


ふっと風が吹いて。抱き寄せられる。


「彼とはまた別ルートで来たの。…苦労したんだから」

「雲雀!?」


気付けば左手を掴まれ肩を抱かれていて。逃げ場を失う。


「その節は僕を助けてくれてどうもありがとう。お礼とお詫びはきっちり果たすからよろしくね?」


雲雀の口が獄寺の耳元に寄せて囁く。くすぐったくて身が竦む。


「え…いや、そんな気にするな雲雀。オレはそんなつもりじゃ…」


唯一自由になる目線だけを明後日の方に向けて言う。なんだか今雲雀の目を見てはいけない気がする。

―――と。

目を逸らした向こう側から。ゆっくりゆっくりとこちらへ近付いてくる影。

獄寺の目が見開かれる。まさか。そんな。信じられない。

その影は姿を認識出来るほどまでに近付くと。驚いている獄寺ににこりと微笑んで見せて。


「久し振り。獄寺くん」


そう言ってみせた。

そこにいたのは我らがボンゴレ10代目。

沢田綱吉だった。