亡き右腕
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ふっと、獄寺の力が抜ける。見上げれないとばかりに俯く。

けれどそんなの許さないとばかりにツナは獄寺の肩に手を乗せて。


「顔を上げて?」


びくりと震えて。恐る恐ると顔を上げる獄寺。そんな獄寺にツナはぎゅっと抱きつく。


「探したんだから…」


獄寺はツナを押し返そうとする。自分なんかに触ってはいけないと。


「…駄目、です。10代目。オレは…」

「裏切り者?それを決めるのはオレ。分かった?分かったら帰ろう?」


ツナが優しく言う。にこりと微笑んで手を差し伸べる。


「でも、オレ、もう…」

「数年のブランク?片手のデメリット?どちらにしろ暫く戦場に出れないんだから気にしないでいいよ。何か言う奴がいたら僕が咬み殺してあげるから。だから帰るよ」


雲雀が頼もしく言う。凛々しく笑って手を差し伸べる。


「―――――オレは」

「みんな獄寺さんを待ってます。みんなが待ってるんです。だから…帰りましょう?」


ランボが獄寺を見上げて言う。それが当たり前とばかりに手を差し伸べる。

みなが手を差し出す。獄寺がそれを受け取るのを当然のように差し出す。

けれど獄寺は受け取らない。受け取れない。

獄寺はもう仲間を、少なくとも自分がそうだと思った人を殺したくはないから。

無意識のうちに後ずさる獄寺の背後から声が掛かる。


「―――お前が逃げるのは勝手だがな獄寺。お前、オレから逃げられるとでも本気で思っているのか?」


獄寺が振り向くとそこにはいつものように意地悪く笑っているリボーンの姿。


「一度見つけたんだ。逃げてもまた見つけてやる。今度は何年もかからせねぇよ」


確信的な笑みを浮かべているリボーンに獄寺は逃げられぬことを悟る。

それでも気丈に、どこか意地を張っているように獄寺は言う。


「―――それも…悪くなさそうですね」


背後で驚く気配を感じながら、けれど獄寺は悪戯っぽく笑って。


「でも、オレを追いかけるのにみんなの時間を割かせるわけにはいきませんから」


獄寺は左手を上げて―――両手があるのなら万歳をしているのだろうか、とにかく降参のジェスチャーをして。


「分かりました。オレの負けです。…捕まってしまいます」

「ああ」


リボーンは短くそう言って、獄寺の前に手を差し出す。


「ほら、―――帰るぞ」

「…はい」


言って、獄寺は目の前のリボーンの手を、

おずおずとしながら、ゆっくりと。


それでも残された左手で、確かに掴んだ。


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さて、帰るか。