亡き右腕
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「!?」
聞こえてきたのは階下の部下の部屋。…殺されたとされる、仲間と同期の部屋。
「まさか…!」
信じたくない。信じられない。来るとしても早過ぎだろう。
けれどタイミングがよすぎるのもまた確か。とにかく確認せねばとツナたちは走る。
そして、その銃声の聞こえた部屋へ向かうと―――
「―――――」
辺りは、血の海だった。
部屋の主は全て無残にも殺されていた。
硝煙の匂いがまだ消えきれてなく。惨殺はついさっきに行われていたことを現していた。
「割れてるね」
独り言のように雲雀。見ると確かに窓ガラスが割られていた。強風に煽られてカーテンが舞っている。そこから逃げたのだろうか。
「一体…誰が…」
「隼人なんじゃない?」
確かにその可能性は高い。けれどタイミングが合い過ぎるような気もする。
「―――いや、まだ決め付けるわけには…」
「…いえ、獄寺氏です」
どこかから声。散らばった家具の下から這い出てきたのは牛柄の服を着た少年。
「ランボ。…ここで一体何があったの?キミは一体何を見たの」
尋ねるツナにランボは弱々しく…
「ごく、でらしが…」
ランボの話を要約するとこうだ。
突如聞こえてきた銃声。
驚いて走ると、そこにいたのは銃を持つ獄寺。
まさか襲われているのかと思ったランボは思わず部屋へと駆け込むが中にいたのは部屋の主。…つまりは仲間。
混乱するランボに獄寺は小さく舌打ちをして。そしてランボを蹴り離した。
ランボはクローゼットにぶつかって、更に銃声。そこに家具が落ちてきて、ランボは気を失ったらしい。
最初の銃声が聞こえてきてからまだ五分も経っていない。その話が本当ならこの惨状も獄寺のものだろう。
「一体…なんで」
呟きは誰にも応えられず。虚しく溶けていった。
けれどそれに浸る間などなかった。
時は常に動き続けている。それは誰にも止められるわけもなく…
――――――――――タァン!
またも響く…銃声。
「は…!?」
その音はここより更に階下から。響く響く。一度響いたそれは鳴り止まない。
「逃げたんじゃなかったんだね。隼人」
しれっと言う雲雀に、慌てて走るツナ。今度こそ彼の姿をこの目に納めなければ。
…しかし。
彼の姿を見たとして。そこからどうすればいいのか。
彼が味方を殺していたとして。それからどうすればいいのか。
殺すのだろうか。彼を。
―――――裏切り者を。
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